「品質ファースト」を企業理念に掲げる、受託製造企業・シャローム。オーダーに忠実であるだけでなく、ブランドストーリー構築までサポートすることで、「唯一無二の製品」を創り出し、顧客からの満足と厚い信頼を獲得している。
顧客の想いに真摯に向き合い、ものづくりをとことん突き詰める同社のスタンスはいかにして育まれ、磨き上げられているのか。その企業哲学を紐解きながら、根源に迫る。
注文を受けることが起点となる受託製造企業にとって、顧客の要望に誠実であることはよき“パートナー”としての重要な要素だ。創業からそうしたスタンスを貫徹し、同社は顧客との信頼関係を構築してきた。
一方で、ものづくり企業として、「発注に忠実であることでだけで本当にいいのだろうか」という悩ましさも常に抱き続けてきた。
顧客にとっては要望通りの製品が出来上がれば、満足かもしれない。だが、同社にとって、そこは通過点。つくる側としての本当の達成感はその先にある。つまり顧客のビジネスがうまくいき、その一翼を担えたその時だ。
「美しさには品質がある」。これを探求し続けることが同社の姿勢である。
これは単なる外見的な美しさだけでなく、肌への効果、安全性、使用感、持続可能性の質の高さを追求することを意味する。

自らを「First Beauty Laboratory」と位置づけ、創業以来、使命としてきたのは「消費者ニーズの多様化に柔軟に対応すること」。
その実現のために、徹底しているのは以下の3つだ。
1. 機能性の高い化粧品、スキンケア製品の創造
2. クライアントの商品を「最強の口コミ」でNo.1ブランドへ
3. 徹底した品質管理と官能評価の数値化による客観的な検証
これらミッションは、どれひとつをとっても高い次元の説得力がなければ達成は困難だ。
化粧品開発では、美容皮膚科学に基づき、角層だけでなく皮膚の細胞レベルにまで着目。特に、治療後の使用も考慮した医科向け化粧品開発では、効能と安全性を担保する科学的根拠が不可欠だ。
また、唯一無二の製品づくりにおいては、「常に先を行く」独自の道を模索し、前例や常識にとらわれない柔軟性も欠かせない。

口コミを拡散させるには製品そのものにストーリーや独創性がなければ、SNSでは俎上にさえのせてもらえない。
確かな技術に加え、独自の技術、企画力、そして創造性がなければ、「美しさには品質がある」の具現化は机上の空論となる。だからこそ同社は、単に受注を丁寧にこなすだけのOEM企業にとどまらない。
ロングセラーを目指せる強いブランドを創り上げるOBM®(Original Branding Manufacturer)。それは、ものづくりに真摯に向き合い続けてきた同社がたどり着いた一つの解といっていい。
顧客のビジネス戦略を丁寧にヒアリングし、商品企画の初期段階から、共にブランドフレームを創り上げていくーー。共創型ともいえる同社の顧客との距離感は、その意味でOBMの核となっている。
その具体的なステップは以下の通りだ。
Step1 環境の分析:
ユーザーの欲求、不満、不安、物足りなさといったニーズに加え、技術や有効成分、色、香り、感触などのシーズ、そして競合の動向を独自の視点で捉え、「競合が入りにくい商品」の可能性を探る。
Step2 戦略の立案:
新商品のターゲットグループ、購入・使用場面(オケージョン)、ユーザーメリットと差別化ポイントを明確にし、ブランドのポジショニングを設定。また、製法や技術、効果効能から機能的・情緒的ベネフィットを考案し、核となる商品シンボル(ネーミングなど)を策定。
Step3 戦術の立案:
プロダクト(製品スペック)、プライス(リピートしたくなる価格)、プレイス(最適な販売チャネル)、プロモーション(告知方法)の4Pに基づき、現実性のあるアクションプランを策定。
これらを支えるのは、営業、研究・開発、製造の三位一体の生産体制。各部門がニーズや課題を収集し、情報がシームレスに共有されることで、市場で求められる最善の製品づくりに向けた知見が統合される。

特に営業部は、クライアントとの情報交換を通じて「見えない課題を抽出」し、研究開発シーズやアイデアを最大限に活かした企画を練り上げる。
また、市場のトレンドや消費者ニーズの「半歩先を見据え」、時にクライアントに提案する姿勢を重視している。
こうした一つひとつの「こだわり」を具現化するのが、同社の生産体制だ。
| 素材からの独自開発 | 単に既存の原料を配合するだけにとどまらず、機能性原料をつくった上で、その機能から逆算して商品アイデアを組み入れるなど、ユニークなアプローチで独創性が創出される。 |
|---|---|
| 独自開発 |
超臨界二酸化炭素抽出装置と超高圧処理装置:
素材の可能性を最大限に引き出すための重要な「武器」。 超臨界二酸化炭素抽出は有機溶媒を使用せず、低温低圧で熱に弱い成分を抽出できるため、熱ダメージや残存溶媒のリスクを低減する。 超高圧処理装置は、深海10,000mの圧力に相当する100MPaを発生し、細菌の働きを制御・素材への浸漬効果促進・水の構造変化・熟成促進作用をもつ。 |
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CDS(コスメティックデリバリーシステム):
有効成分を効率よく必要な場所に届ける技術。特に、有効成分を100nmレベルまで微細化したナノ粒子を活用し、角層へのスムーズな浸透を促す。さらに、単に浸透させるだけでなく、商品のコンセプトに応じて「速やかに浸透」させるか、「じわじわと長く効かせる」か、戦略的にデザインする。 |
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発酵・抽出技術:
微生物の力を借りて新たな有用成分を生み出す日本の優れた技術。独自の超高圧処理を用いた発酵技術で新規成分を探求する。 |
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| 富士山の伏流水 |
本社工場が世界遺産構成資産である忍野八海に近い忍野村に位置するため、数十年の歳月をかけて自然にろ過された富士山の伏流水を原水として、化粧品に使用しています。
これにより、製品に「FUJI MOUNTAIN COSMETICS®」という商標を付与することができ、大きな付加価値を提供できる。 |
| 小ロット対応 | プロモーションやテスター利用など、初期段階の検証ニーズに応えるため、20L~40Lの可搬式乳化装置を導入し、小ロット生産にも柔軟に対応。 |
| 処方開発の責任感 | 処方開発者が最後まで責任を持って処方を組み上げ、製造への落とし込みまでを一貫して担当する。これは、単に技術的な知識だけでなく、5,000を超える原料情報や過去の経験を継承し、顧客ニーズを具現化する「翻訳」の役割を果たすことを重視しているため。 |
| データ解析 |
オノマトペによるデータ解析: 注目すべきは、化粧品の試作品や製品評価において、感情や感性表現を捉える「オノマトペによるデータ解析」を導入している点。
例えば、「なんとなく保湿感が足りない」「ベタベタする」といった主観的な表現をオノマトペで分析することで、客観的なデータとして可視化し、開発スピードの向上と顧客の納得度を高める。 さらに、感性AIを活用することで、こうしたテクスチャ評価を数値化し、具体的な改善方向を導出。 |
これらはごく一部に過ぎない。あらゆる側面から品質を追求し続けることで育まれた、同社の生産体制。顧客と共に一つひとつ積み上げられてきたその引き出しは、要望の数だけあるといっても過言ではない。
富士山のふもとに位置する同社忍野工場が、顧客の多様な要望を具現化する拠点となる。

化粧品の製造に関する品質・安全性に関する国際規格「ISO22716」(化粧品GMP)認証を取得した最先端の同工場は、あらゆる可能性も取りこぼさない充実の設備を整え、高品質かつ安全な製品製造を行っている。

受託製造企業としての揺るぎない「哲学」のもと、クライアントの「戦略」にも踏み込み、製造体制やデータをベースに「こだわりを具現化。DXや海外にも貪欲に目を向けながら、同社はあらゆる角度から「品質ファースト」を追求する。
市場環境は厳しさを増しているが、競争で優位に立てる唯一無二のロングセラーブランドの創出を使命に、同社はクライアントと共に頼もしいパートナーとして真摯に歩み続ける。
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株式会社シャローム
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