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オーガニックワインの草分け的ボルドー

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オーガニック野菜は一般のスーパーでも見られる世の中になってきたが、ことワインとなると否定的な人が多いのが現状。そんな中で、着実に存在感を増しているのがオーガニックワイン専門店のマヴィだ。多々あるワインの中で同社がイチオシするのが、1963年からボルドー地方でオーガニックワインを造っている草分け的存在であるドメーヌ・デュ・ムーラン・ナ・ヴァンの「グラーヴ」。ワインの特徴や販売までの経緯を田村安社長に聞いた。
マヴィ株式会社・田村安社長

マヴィ株式会社・田村安社長

オーガニックワインというと、体に良いのは分かっていてもマズイという印象があるのですが。

かつての私もそうでした。もともとワイン好きで、92〜96年末までフランスに駐在していた時には、それこそ「シャトーラトゥール」や「シャトーマル ゴー」といった5大シャトーをケース単位で購入して飲んでいました。ところがそんな時に、かの有名なワイン「ロマネ・コンティ」に通じる味わいのあるオー ガニックワインと出会ったのです。それは、シャトー・ド・サッソンジーの「サントネー」というワインでした。ブルゴーニュの由緒正しいコンクール「マコ ン・コンクール」で銅メダルを取ったワインです。後に「ロマネ・コンティ」に通じると感じた理由を知ることになりますが、実はあの「ロマネ・コンティ」も ブドウをオーガニック栽培し、合成香料などを一切使わないで醸造しているワインだったのです。それから私は、オーガニックワインを造るさまざまな生産者に 会いにでかけ、数々の素晴らしいワインに出会ったのです。

また、ほぼ同時期にフランスの香料会社と仕事をしていたんですが、香料会社にはマルゴー村、ボージョレー村など有名産地の香料が揃っており、それらを普通の ワインに添加すると有名産地のワインを簡単に造れるということも知りました。それで産地信仰の馬鹿馬鹿しさを感じました。

今回、ご紹介いただくワインは、「サントネー」でなく、ドメーヌ・デュ・ムーラン・ナ・ヴァンの「グラーヴ」ですが、生産者とワインについて教えてください。

ボルドー地方のグラーヴ地区のランディラスという村で、ラビュゾンさんという生産者が造っているワインです。ラビュゾン家は1668年にすでにワイン造り を始め、1963年からはずっとオーガニックワインを造っている草分け的存在です。すでに40年以上オーガニックワインを造っています。戦後のほんの一時 期に農薬や化学肥料を使ったこともあるのですが、ラビュゾンさんは農薬のせいで視力障害になってしまい、夫人が農薬を全て捨ててしまいました。ラビュゾン さんとしては自分を害するものは皆にも良くないと農薬栽培を止めたのですが、周囲の人たちからは白眼視されたそうです。土造りがきちんとできていないと良 いブドウができませんが、農薬を使用していた時間が短かったので畑のダメージは少なく、ラビュゾン家の畑の微生物が蘇るまでにはそんなに時間はかかりませ んでした。オーガニック栽培を続けるうちに雑草が生えるようになり、生態系が戻ってきたのです。

土に与える養分は、海藻、岩の粉、オーガニック堆肥、緑肥といった自然由来のものばかりです。病気などの対策も、ボルドー液、硫黄の花、植物を煎じた液体のみに限っています。

同時に、醸造法も伝統的な醸造法に戻しました。現在は、化学物質を使わない醸造法を知らない人も多いのです。酸化防止・殺菌・酵母の活動をコントロールするためには、瓶に硫黄の煙を吹き込んでいます。

味 わいは、渋みを強調した今流行のボルドーワインと違って、昔のボルドーワインを知る人が飲むと懐かしい飲みやすいものです。ブドウ品種はメルローを60% のほか、カベルネソーヴィニヨンやカベルネフランを使用し、古樽で熟成しています。アメリカンチェリーや森の下草をイメージさせ、ブドウの甘みの中に、 ハーブの爽やかさを持っています。

香り付けは勿論行っていませんし、ブドウは手摘みをしています。摘むのは温度が20度以下の間である早 朝3時〜4時の間で、昼間に醸造管理を行います。良い年のワインは、高級ワインのように熟成も可能です。私は、仕込み手のフィロソフィ(哲学)で味わいが 変わってくると考えています。

ドメーヌ・デュ・ムーラン・ナ・ヴァンの「グラーヴ」

「グラーヴ」のようにおいしいオーガニックワインがあるのに、一般にオーガニックワインがマズイと思われているのはなぜなんでしょう。

農薬を使った農法からオーガニック農法への転換期間に造られたワインは、マズイことが多いです。また、味が劣化してしまう理由は輸送です。当社で扱ってい るワインは、農家から日本の港までは12度で輸送し、日本に着いてから後は15度で温度管理します。熟成させるには15度が適しているのですが、輸送中で は酵母が活性化しすぎて瓶が破損しないように低温にしているのです。一般の小売店で売られているワインはリーファー輸送などとうたってあっても、問屋では 外に積まれていたりします。化学物質を使わないワインは、輸送や保管時の管理に気を使わなければならないのです。また、大手メーカーが販売しているオーガ ニックワインは大規模な組合やメーカーが造ったもので、当社が扱っているような単一の生産者が造ったものとはレベルが違うのです。当社にとってオーガニッ クであることは試験で言えば足切りラインで、その上で良いワインを選んでいます。クォリティには自信がありますよ。

ドメーヌ・デュ・ムーラン・ナ・ヴァンの「グラーヴ」

「グラーヴ」は年間何本生産されていて、どんな販路で売られているのですか。

年間5万本生産されています。販路は純米酒や地焼酎を得意にしている酒販店が多いです。要は舌が肥えたお客を持っている酒販店に支持されているのです。 オーガニックとはどういうものかを理解して、きちんと温度管理して生産者の気持ちを伝えられる店舗にしか卸しません。ワインが強いショップでは、従来のワ インを否定することになるためか、扱われていません。レストランでは和食の店でよく扱われています。その他、弊社の通販でも販売しています。自然食品店か らも引き合いはあるのですが、温度管理などの問題でほぼお断りしています。ただ極稀ですが、自然食品店でも扱っているところもありますよ。

購入層は。

健康に自信がなくなってくる世代ですね。女性だと30〜40代が中心ですが、最近は40〜50代の男性が増えています。安いワインには香料と化学物質が いっぱい入っているので、飲むと気分が悪くなってしまう人もいます。そんな人でも、当社のワインなら翌朝すっきり目覚められるからです。当社は宣伝活動を 一切していないので、クチコミやマスコミの掲載記事などを見たり、ネットでオーガニックワインを検索して購入する人が多いようです。酒販店からはリピー ターも多いと聞いています。

マヴィ株式会社・田村安社長

オーガニックというと、一般的に高価という印象ですが。

「グラーヴ」は税込みで2887円です。ブドウの木1本半を使用しているので、当然ワイン価格にも反映します。本当はあと2割は値段が高くないと割に合いません(笑)。

「グラーヴ」の生産国であるフランスのオーガニックの基準は。

日本のJAS規格とほぼ同様と考えていいでしょう。

オーガニックワインと無添加ワインの違いは何ですか。

無添加ワインは酸化防止剤、合成保存料などを一切使用していない点は同様ですが、加熱殺菌処理をしていますし、オーガニック栽培したブドウを使用していません。当然、味わいに差が出ます。

最後に何か読者にメッセージはありますか。

消費者には、マーケティングに踊らされずに自分で判断できる舌を持ってほしいですね。また、当社が消費者の情報を生産者にフィードバックすることで、さらに良いワインができるようになると思います。オーガニック栽培だからと買うというのではなく、「オーガニックワインが飲んでおいしいから買う」という時代になってほしいです。

本日はありがとうございました。

Company Information
■企業名:
マヴィ株式会社
■事業内容:
ワインの輸入・卸し・直販
■本社所在地:
〒107-0052 東京都港区赤坂2-21-5
■代表電話番号:
03-6822-9066

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