前立腺肥大抑制効果ありという研究報告 注目の新規原料「バナチン®」。その可能性とは 原料特集 【健康美容EXPO】

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原料特集 食用バナナの皮に前立腺肥大抑制効果ありという研究報告 バナナ果皮抽出物『バナチン®』に秘められた可能性とは。 新規原料バナチン 学名:Musa spp. 情報提供:株式会社ヒロインターナショナル

サプリメントが男性の悩みの強力な味方となる可能性が示唆されている。原料として、これまで選択肢が少なかったが、新規素材「バナチン」R」で前立腺肥大、薄毛に対する機能性が期待されるデータが得られたのだ。中高年男性のQOL向上が望めるとして期待されるフルーツ由来の新素材をリポートする。

『バナチン®』とは

有機バナナのパイオニアである株式会社ヒロインターナショナルが開発、特許申請中の新原料。

有機バナナのパイオニアである株式会社ヒロインターナショナルが開発、特許申請中の新原料。有機バナナの果皮よりバナナエキスを抽出し、パウダー化したもの。バナナ(学名Musa spp./和名バナナ、ミバショウ[実芭蕉])は東南アジア原産で、熱帯地方を中心に自生もしくは栽培されているショウガ科の多年生草木。日本では皮を剥いた部分を食しているが、熱帯地方ではそのまま焼いたり煮たりと、調理して食べることもある。

 

80歳までにはなんと80%の男性が罹患する前立腺肥大症

前立腺

60代男性の半数以上が夜間頻尿や残尿感などの不快な状況を感じ、80歳には80%の男性が罹患するともいわれる前立腺肥大症。最近では女性同様男性にも更年期障害があることがわかってきており、その筆頭に上げられるのが前立腺肥大症である。厚生統計協会が2002年に実施した患者調査によると、1987年には13万5千人だった患者数は39万8千人、15年間で患者数は約3倍に増えたことになる。日本の50歳以上の男性人口は約2,400万人であることから、統計学上は約480万人の患者がいることになるが、実際は9割以上の人々が症状を我慢して潜在化していると考えられる。50代の男性で3~4人に1人は前立腺肥大の諸症状を感じているとされるが、病院に行くほどではないと考えるヒトが多いのであろう。

前立腺がんとは違いすぐにも治療が必要という症状ではなく医薬品への依存がためらわれることが原因と思われるが、一方で前立腺肥大の初期症状において、健康食品を積極的に利用することによりQOLの改善が期待できることがすでに示されている。しかし実際は“ノコギリヤシ種子エキス”や“ペポカボチャ種子エキス”がサプリメントなどとして流通しているだけで、現状ではその選択肢が少ない。

 

前立腺肥大のメカニズムとバナナ果皮抽出物の作用機序


前立腺肥大症とは男性の生殖器である前立腺が肥大し排尿障害や性機能の低下を起こす病気。前立腺は尿道を取り囲むように位置するクルミほどの大きさの臓器で、加齢により代表的な男性ホルモン(アンドロゲン)のひとつであるテストステロン量が減ると、前立腺が機能を維持するためにテストステロンを多く吸収しようとするのが要因といわれる。前立腺内に吸収されるテストステロンが5αリダクターゼと結合してジヒドロテストステロンとなり、細胞核内のアンドロゲンレセプター(受容体)と結合、タンパク質の合成を促して前立腺細胞を増殖させることが原因で前立腺が肥大すると考えられている。

前立腺肥大のメカニズムとバナナ果皮抽出物の作用図

 


バナナ果皮抽出物に含まれる有用成分研究データ

バナナ果皮抽出物に含まれる有用成分のひとつが“シクロユーカレノン”(cycloeucalenone分子式 C30H48O)であるが、この成分は植物ステロール(フィトステロール)の一種として知られており、新規物質ではない。ただ、この“シクロユーカレノン”に「前立腺肥大抑制」もしくは「5α-リダクターゼ阻害作用」があることは、この試験により初めてわかった。
試験はA群/コントロール群(前立腺肥大モデルマウス)、B群/去勢群、C群/バナチン単体投与群(300mg/kg)、D群/ノコギリヤシ種子エキス単体投与群(300mg/kg)のマウス4群で比較。グラフは前立腺の短径(mm)を示している。ノコギリヤシ種子エキスは『バナチン®』と同様の作用機序を持つコンペティターであるが、同量を摂取した場合、一般に市販されているノコギリヤシ種子エキスより『バナチン®』のほうが効率よく前立腺肥大を抑制する可能性が示唆された。

また、睡眠を妨げるような頻尿傾向などの自覚症状がある人に、『バナチン®』を約1ヵ月摂取してもらった結果もグラフのように顕著なものだった。『バナチン®』の摂取前後に国際前立腺スコア(IPSS)※をつけてもらうことにより評価。その結果ほぼすべての人で点数は下がり、悪化したと答えた人はいなかった。

国際前立腺スコアの変化(1日250mg) 図

 

毛髪に関する実験の最新データ


発毛領域
実験方法および評価方法

CH3マウス(雄・6週齢)を1週間の予備飼育後、小動物用バリカンで背部を剃毛。表面を露出させた。 各群は5匹とし、コントロール群(水のみ)、バナチン250mg/㎏群で比較。毎日同一時刻に経口で36日間の投与を実施した。
評価は、一定距離からの背部写真撮影を行い、画像の剃毛領域ににマス目を引き、発毛および育毛領域をもとに設定したスコア表(図)に基づき、数値化した。

 
CH3マウスのよる毛髪に関する実験データ

その結果、全てのマウスが発毛および育毛領域の割合が高いスコア10に近づいたが、コントロール群に比べ、バナチンWP-14を250mg/㎏投与群の方が、高い育毛スコアを示した。

有機栽培バナナで名を馳せるメーカーが『バナチン®』を開発した時代背景とは


すでにヒトによるモニタリングで一定の成果を得ている“バナナ果皮抽出物”は、新規原料『バナチン®』として男性更年期障害マーケットに本格参入することになるが、開発を手掛けたのは18年前より有機栽培されたバナナの輸入・販売を手掛けてきたパイオニア、株式会社ヒロインターナショナル。現在は南米のペルー、エクアドルにある同社自社農園を中心に有機栽培されており、有機JAS認定も受けている有機栽培バナナのリーディングカンパニーだ。同社はこれまでにもさまざまな健康食品原料を開発・製造してきたが、この『バナチン®』に関しては、東京海洋大学大学院ヘルスフード科学講座との共同研究によりエビデンスの検証を実施してきた。すでに、前立腺肥大抑制作用とそのメカニズムについての研究発表も行なわれてきている。

バナチンの開発 商品化

学者たちを中心に産業廃棄物を出さない生産のあり方を目指す“ゼロ・エミッション”という考え方があるため、バナナの皮のように通常であれば廃棄されるもののなかに優れた機能性を有する素材を見出す研究を進めてきたのが、前出の東京海洋大学ヘルスフード講座。産廃ゼロミッションと機能性素材の発見、いわば「二兎を追って、二兎を得る」プロジェクトにより生み出された新規素材である。

また「バナチン®」には抗アンドロゲン作用が認められることから、前立腺肥大のみならず男性更年期障害における脱毛症にも効果がある可能性も秘められており、中高年男性をターゲットとしたサプリメントの原料として、今後注目を集めそうだ。

 

トピックス

「バナチン®」の特徴

□ 原料のバナナには有機栽培されたもののみを使用。
□ 粉末原料であり、打錠品やハードカプセル、ドリンクや菓子など、いろいろな形状に利用できる。
□ ほのかなバナナの香りおよび味があるため、飲食物への配合により嗜好性を妨げない。
□ カプセル形状では飲み込みにくい高齢者に対応して、摂取しやすいドリンクやゼリーなどの形状に加工することができる。

バナチンの特徴

男性更年期障害

加齢により血中のテストステロン(男性ホルモン)が低下することにより生じる前立腺肥大、男性型脱毛症、勃起不全(ED)などが知られている。男性更年期障害では、男性ホルモン量の増減両方に疾病が見られ、男性ホルモンの細胞内での増加では前立腺肥大症や男性型脱毛症が起こり、体内の男性ホルモンが減少するとED、無気力症などが起こる。リタイア後にあらためて症状を自覚するケースが多いともいわれる。

前立腺肥大、男性型脱毛症、勃起不全(ED)

前立腺肥大症と前立腺がんの違い

前立腺肥大症は内腺(尿道を取り囲む部分:移行領域)に発生する良性腫瘍による症状。悪性腫瘍である前立腺がんとは異なり、骨やほかの臓器に転移することはない。また、前立腺肥大症から前立腺がんに進むことはないと考えられている。前立腺肥大症は内腺で発生するため、尿道が圧迫されて狭くなり尿がでにくい、トイレの回数が多くなる、尿をしたあとすっきりしない、などの自覚症状があらわれる。一方前立腺がんは、主に外腺(尿道から離れた部分:辺縁領域)に発生するため、早期では自覚症状はあらわれない。がんが進行し尿道や膀胱を圧迫するようになると、排尿時の症状や血尿などが現れるようになる。

植物ステロールとは

広く植物に含まれている成分で、動物性食品に含まれるコレステロールと化学構造上の基本骨格が類似している。植物ステロールは穀物や野菜などに広く含まれるが、大豆、なたね、とうもろこし、ごま、米、オリーブなどの食用油に多く含まれる。動物は体内でコレステロールをつくりこれを細胞膜の構成成分やホルモンの原料として体内で利用しているが、このしくみは植物も同じで、植物が生体内で細胞膜構成成分や生態防御成分の原料としてつくったものが、植物ステロールである。

植物ステロールは穀物や野菜などに広く含まれる

国際前立腺症状スコア (I-PSS : International Prostate Symptom Score)

アメリカ泌尿器科学会(AUA)で提唱されたアンケート形式の検査のこと。排尿障害の症状に関する7項目の質問からなり、それぞれ0~5点の評価を行い、各項目点数を合計(総計35点)し、軽症(0~7点)、中等症(8~19点)、重症(20~35点)に分類する。

AUA

含有サプリメント

ケーツーコミュニケーションズの『水の勢(みずのせい)』は、中高年男性の悩みをサポートするオールインワンサプリメント。バナナエキスと柿タンニンを主成分に、亜鉛とアルギニンを配合する。中高年の悩み解消系サプリメントといえば、ノコギリヤシやカボチャ種子関連が幅を利かせているが、同製品は、そうした市場に切り込む今後注目の製品といえる。

ケーツーコミュニケーションズの『水の勢(みずのせい)』
 

含有サプリメント

北の達人コーポレーションの『モサイン』は、内側からのケアで男性の悩みにはたらきかけるサプリメントだ。マウス試験で毛髪に関する実験が行われているが、その機能に期待した成分として、バナチンが採用されている。

北の達人コーポレーション『モサイン』
 

含有サプリメント

カイセイ堂の『メンズミレット』は、ドリンクタイプのサプリメント。アミノ酸が豊富に含まれるミレットが主成分でバナチンも副原料として使用されている。このミレット、聞き慣れないかもしれないが実は穀物由来。スイスの医薬品会社が行った調査では約7割で有効という結果も出ている。ポイントはコラーゲンとの配合比なんだとか。

カイセイ堂 『メンズミレット』
 
 
 
スペシャルインタビュー “バナナ果皮抽出物”について詳しい東京海洋大学大学院ヘルスフード科学 矢澤一良教授にお話を伺いました。

バナナの皮という“未利用資源”から抽出された機能性素材に、中高年男性の強力な味方となる可能性を大いに感じています。

バナチン カプセル

東京海洋大ではさまざまな実験を行なっていますが、アッセイ(試験・検定)系では肥満モデルマウスやⅠ型糖尿病モデルマウス、骨粗鬆症もモデルマウスなどを使用して、医薬品成分を含むさまざまな抽出物のスクリーニングをしています。最大で約2,000匹のマウスを保有し、400種類以上の天然物に関するin vivo試験を行なって調べていますが、実際には活性がある天然物はごくわずか。ですから3年ほど前から前立腺肥大モデルマウスによるスクリーニングを実施してきたなかで、その活性が認められた“バナナ果皮抽出物”は非常に稀な存在であると感じております。新規素材として前立腺肥大関連のマーケットにおける選択肢を広げることになりそうですね。
日本人は平均寿命が長いことで知られていますが、男性も80歳くらいまで生きるヒトが多いわけですよね。でも、健康寿命(日常的に介護を必要とせず、心身ともに自立して健康的に生活できる期間)はどうかというと、男性は73歳くらい。僕らの世代が集まったときに何を話すかというと、「子どもたちには迷惑かけたくないよね」という話になるのですが。本当に効果があるサプリメントがあって、安全だというのなら、試してみるのもひとつの手段。栄養補助の意味でも、前立腺肥大のような症状にQOLの改善に寄与する意味でも、年年歳歳、自らが予防や改善のために健康食品を摂るようになっていくと考えています。子どもの食育云々が叫ばれて久しいですが、これからは中高年以上の人たちに向けた食育が必要だと思います。今の子どもたちが食育を受けて40年後に医療費が削減できるのかもしれませんが、いつ生活習慣病になってもおかしくない世代の僕たちは、明日にも病院のお世話になるかもしれない。そうならないためには食事管理や運動だけでなく、健康食品などあらゆる選択肢を残すべきです。僕も含め50代以降の男性がみな一様に悩む前立腺の症状は、病院に行くほどではないけれど、つねに心のどこかでひっかかっていて、憂鬱な気持ちになるものです。食品で病気が治るわけではありませんが、安全性が担保され身体に負荷をかけないものであれば、トライしていただきたいというのが僕たちのスタンス。“バナナ果皮抽出物”の活性を見ると、これを原料とした製品であればきっと非常に体感しやすい食品になるのではないでしょうか。今後バナナ果皮抽出物の研究が進んで作用機序が確認されていけば、中高年男性の強力な味方になる可能性を、大いに秘めていると思いますね。たとえ3割でもこうした食品症状が改善されるのであれば、研究者としてもうれしい限り。これからもご理解のある臨床医学の先生方にご協力いただき、代替医療に寄与していきたいと考えています。

矢澤 一良 教授

東京海洋大学大学院 ヘルスフード科学
矢澤 一良教授

Profile: 1972年京都大学工学部工業化学科卒業。(株)ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生体研究室勤務。その後、(財)相模中央化学研究所に入所、東京大学より農学博士号を授与される。2000年湘南予防医学研究所設立、現在東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科ヘルスフード科学講座客員教授。予防医学、 ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする。

 

株式会社ヒロインターナショナル
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TEL:03-3406-1091 FAX:03-3406-1203
URL:http://www.naturalhero.co.jp/
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