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オカラ全量食品化リサイクル方式で、産業廃棄物が健康志向食材
「ソイファイバー ペースト」へと転身

ROF株式会社
 大豆から豆腐や油揚げ、豆乳を製造する過程で必ず発生する残渣であるオカラの排出量は年間80~100万トンともいわれているが、食品素材としての加工が難しいことから産業廃棄物としての扱いを受けるか、家畜飼料や肥料となるしか道がなかった。この“栄養価の高い産廃”を100%リサイクルするシステムが開発され、どんな食材にも添加することのできる画期的なオカラ加工食品「ソイファイバー ペースト」が上市された。今回は同食品の開発に携わりその製法特許を取得しているROF株式会社代表取締役・小倉利一氏に商品特性と製法開発の経緯についてお話を伺った。
ROF株式会社代表取締役・小倉利一氏

オカラを健康食材として加工しようと考えたきっかけを教えてください。

 豆腐製造にかかわる事業をしており、20数年前に産業廃棄物として指定を受けたオカラをなんとか有効利用できないかと考え、まずオカラを特殊肥料として製品化するための研究を始めたのがきっかけです。結局、オカラは水分を含浸することから大豆1俵(60kg)より排出されるオカラが70~80kgと重量的に大きく、肥料適正に欠けていたため断念しました。しかしあるとき、知人から「健康のためにオカラを飲料に混ぜて飲んでいるが、口の中にオカラが残って飲みにくい」という話を聞いた私は、オカラを細かくすれば飲みやすくなるのではないかとふと思ったのです。細かくするだけでなく、オカラの豆臭さや口当たりの悪さなどオカラの欠点を消去法で解決していくことで、産廃をリサイクルして商品化が可能なのではないかと考え、再度研究に着手することになりました。

 国の研究助成窓口からは「オカラについては研究し尽くされた」という返事しか返ってきませんでしたが、専門家が研究するのは“オカラ含有成分”の栄養素に関するものであって、“食品であるオカラの機能性”について分析しているわけではありません。生オカラは溶解性が低いうえ色や成分がすぐに変化してしまうことから食品利用に不向きな食材です。そのため食品への多量添加は非常に難しいという問題がありましたが、それを解決するために試行錯誤を繰り返しました。はじめからサプリメントの原料として研究するつもりはなく、あくまでも毎日の食生活に貢献する健康食材の開発をコンセプトとして研究しました。そして一切の添加物・化学的抽出媒体を使用せずに褐変やタンパクの熱変性、脂質の酸化など加工が難しいオカラを即処理するリサイクルシステムの開発に成功し、「ソイファイバー ペースト」完成にこぎつけたのです。

「ソイファイバー ペースト」は製法特許(特許第3683184号)を取得していますが、
どのような工程を経て製造されるのですか?

 まず大豆から食品を作る際に排出されるオカラを加水・煮沸かして、オカラ中に残存する豆乳成分(タンパク質、脂質、糖質など)を水相に移行させ脱水、この洗浄と脱水の作業を繰り返すことで豆臭を除去します。この段階で大豆に含まれるイソフラボンは水相に移行してしまいますが、食物繊維やカルシウム、カリウムなどは生オカラよりも多く含まれ、食品としてのカロリーは約3分の1という極めて健康価値の高い食材となります。その後摩砕機で微粒子化してさらに脱水し、最終段階で水分を調整し舌にザラツキ感が残らない極微粒子化を実現したものが「ソイファイバー ペースト」です。大豆加工食品として「ソイファイバー ペースト」という商品名でも商標登録されています。

 100gのオカラから100gの「ソイファイバー ペースト」ができる“全量リサイクル”で、焼却処理時のCO2発生や焼却灰も排出されず、オカラを洗浄した水は豆腐の製造工程に戻すことが可能な完璧に近いリサイクルシステムであるといえます。二次公害が出ないことや環境保全への考慮のみならず、国民の食生活改善に貢献できて豆腐製造業者が利益を上げることができる一石“三鳥”いや、それ以上に価値のあるビジネスモデルだと思います。

「ソイファイバー ペースト」試作品
「ソイファイバー ペースト」の商品

どのような環境があれば生産プラントを導入できるのでしょうか。

 「ソイファイバー ペースト」の生産プラントはオカラ発生量100kg/時(0.6トン/日)以上の事業所を対象にしています。基本となるのは200kg・400kg/時の処理プラントで、たとえば400kg/時の場合設備費6000~7000万円、15~20㎡の設備スペースが必要となります。オカラ排出量3トン/日の事業所で純利は概ね1000万円/年。オカラの廃棄コストなどはこれに計上されていませんので、実際にはさらに利益還元されることになるでしょう。設備導入、製品流通については「ソイファイバー ペースト」を弊社が全量買い取るケースと、特許ライセンス契約による自社販売との二通りがあります。私どもでは1年半くらい前に生産プラントを導入し商品の製造を本格始動させ、大手食品メーカーやペットフードのメーカーに「ソイファイバー ペースト」のサンプルを提供して、冷凍食品やパンなどの食品、ペットフードの商品化に協力してきました。

「ソイファイバー ペースト」を食品に添加するメリットについて教えてください。

 無味・無臭の極微粒子(300μ㎎以下)で含水率が80%前後と高く、食品としてそのまま使用が可能です。製品の特徴としては、「低カロリー(一般のオカラの1/3)」、「不溶性食物繊維(セルロース)を高含有(100g中13.8g)」、「低糖質・低脂質」、「カルシウム、カリウムを豊富に含み、植物性タンパク質を適度に含む」、「無味・無臭なので多岐にわたる用途がある」ことなどが挙げられます。食品の主原料または副原料としてあらゆる食品に添加が可能で、添加することにより食品の総エネルギー量が減ることからヘルシー志向の食品やメニューが作れます。通常の食材のみで作るよりもはるかに低カロリーであるにもかかわらず、食物繊維を多く含むため満腹感が得られることからダイエット効果が期待でき、さらに便秘解消など腸内環境を改善します。また食物繊維は糖質の吸収を抑制し食後血糖値の急上昇を抑制する働きを持つことから、メタボリックシンドロームなど生活習慣病の予防医療にも貢献できますし、糖尿病患者向けの食品開発にも役立つ食材です。

 さらに大きなメリットとして、極微粒子の原料が80%以上の含水率でペースト化され飽和状態にあるため、原料に添加して調理することによって食品自体が油を吸収しないということも挙げられます。揚げ物の衣などに添加すると一層効果的ではないかと思います。また「ソイファイバー ペースト」を使用すると独特の甘味と風味が加わり、砂糖や醤油などの調味料の使用量が減る傾向もあります。具体的な使用例としては、コロッケやマッシュポテトの代替食材、餡の代替食材、ハンバーグやミートボールの具材に加える、魚肉ソーセージの原料に混ぜる、クッキーやパン、パスタ、ホットケーキの生地に加える、スープ類に加えるなどさまざまな添加もしくは代替使用例があります。一般消費者にも「ソイファイバー ペースト」を使用したメニューの基本レシピを提供していきたいと考えています。用途としては1.機能性食品 2.ダイエット食品 3.一般食品(冷凍・レトルト食品を含む)、食物繊維強化食品、食感改良添加食材 4.ペットフード 5.その他飲料 などが挙げられます。

オカラ全量リサイクル事業の今後の展望をお聞かせください。

 飽食の時代が叫ばれて久しく、メタボリックシンドロームや小児肥満の問題がますます深刻化していますが、大人も子供もエネルギー(カロリー)の過剰摂取がいちばん大きな原因なのではないかと感じています。「ソイファイバー ペースト」は“産廃を食べる”という発想で開発されましたが、あらゆる食品に添加するだけで栄養バランスのとれた健康食材に変身させることのできる、無限の可能性を秘めた食材だと思っています。医食同源という言葉があるように、毎日の食事で摂る食品によって健康管理をしていってほしいという思いもあり、予防医療やQOLの向上にこの「ソイファイバー ペースト」が役立つようになればうれしいと思っています。すでにソーセージなどが商品化されていますし、人間同様肥満の予防や改善のためにペットフードも発売されています。現段階では業者向けの容量(10kg、15kg)のみの販売となりますが、メニュー開発に協力してくれている栄養士さんたちから、一般向けのサイズも作ってほしい、というリクエストが数多く寄せられています。将来的には「ソイファイバー ペースト」の少量パッケージを家庭向け商品として発売したいと思っています。

 事業展開としては初期設備投資などの問題がありますが、オカラを産業廃棄物として処分する必要がなくなり、(ROF全量買取による)「ソイファイバー ペースト」の販売利益は豆腐販売利益に匹敵し、豆腐製造の歩留まりが7~8%高くなります。このシステムは豆腐製造業者にとっても大変メリットがあると思います。弊社の事業自体は来春より本格的にスタートする予定ですが、日本全国で廃棄されるオカラ総量の20%にあたる20万トンが消費できるような事業展開を目指し、当面2万トン/年・年商40億円を実現していきたいと考えています。

本日はありがとうございました。

ROF株式会社代表取締役・小倉利一氏
Company Information
■企業名:
ROF株式会社
■事業内容:
「ソイファイバー ペースト」製造・販売、設備設計・設工・販売
■本社所在地:
千葉県長生郡長生村本郷5342-4
■代表電話番号:
0475-32-0627
■URL:

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