
健康素材として市場に定着している原料は数多くある。多くは伝統食から派生したものであり、必要栄養素の抽出物の類である。そうした中で、医薬品研究開発の過程で奇跡的に発見された素材として注目されているものがある。その名は、オリゴ乳酸「LAC機能活性型乳酸 」。発見から30年以上の歳月を経てもなお、研究者に刺激を与え続ける“オリゴ乳酸”をクローズアップする。
「オリゴ乳酸」と聞けばその知名度から“オリゴ糖”と“乳酸”が合体したもの? と思う人もいるであろう。答えはノー。L型乳酸を原料とした乳酸縮合物の混合物、がその答え。サトウダイコンやトウモロコシなどを由来原料とする発酵L型乳酸を加熱し、貝カルシウムなどの助剤を加えたのち乾燥、粉砕といった工程を経て粉末化する。その構造は乳酸がエステル結合したもので、主成分が直鎖状のオリゴマーであることから「オリゴ乳酸」と呼ばれる。
発見されたのは30年近くも前にさかのぼる。もともとはガン細胞を培養した培養液中にその存在が示唆され、その化学構造から容易に生成できるため、化学的製造法の検討に入った。そこをスタート地点にさまざまな研究が行われ、15年前からは健康素材として、いまなお研究が続けられている。長年の研究と並行し、オリゴ乳酸を含有するサプリメントなど、その製品は増え続け、現在までに累計100万食を突破している。
さまざまな機能性を秘めるオリゴ乳酸は、実験による多くの臨床データも報告されている。例えば、腸内乳酸菌増殖効果については、ラットに5mg/kg及び25mg/kgのLACを4週間経口投与した後、腸内乳酸菌数を測定したところ、コントロール群に対し、2〜3倍もの乳酸菌が確認されている。生きた乳酸菌ではないLACは、胃酸や消化液の影響を受けにくく、腸に到達しやすいと考えられているが、同実験ではそうした点が裏打ちされる結果となっている。その他にもマウス実験でNK活性増強効果、高脂血症および肝機能改善、ヒト試験でも免疫能増強効果、便通および血流改善効果が示唆される結果も出ている。(下図参照)
そのメカニズムは、摂取することによる腸内環境改善→腸管免疫向上というフローによりさまざまな効果・効能が引き出されると推測されている。だが、そうした次元を超越した多様な疾病に対する改善例が報告されているのもオリゴ乳酸「LAC」の特長であり、研究者の興味を引いてやまないある種の神秘性でもある。アレルギー症、更年期障害、膠原病、自律神経失調症、リウマチ、糖尿病、肝機能障害…など、長年の研究過程で医療機関などから報告されている事例は、実に広範囲に及ぶ。
データとしてはまだまだ不十分であり、オリゴ乳酸に潜在する機能としての可能性に過ぎないが、今後が大いに注目される健康素材である。一歩一歩進められる研究の一方で、安全性については充分な試験が行われている。単回投与急性毒性試験(ラット 5000mg/kg以上)、90日反復投与毒性試験、復帰突然変異試験など数々の試験をクリアしており、安全性は証明されている。

乳酸縮合物であるオリゴ乳酸「LAC」との出会いは少し大げさかもしれませんが奇跡的なものでした。もともとはがん細胞の培養を行う中で、がん細胞が死滅した際に培養液中に自らを殺すような因子が示唆されたのが発端です。さらにそれが乳酸縮合物であろうシグナルが得られたことから、化学的製造法の検討などを経て、オリゴ乳酸として誕生しました。従って当初は、医薬品としての研究がメインでしたが、15年ほど前からは健康素材として、その可能性の追求やメカニズムの解明をメインに研究を続けています。さまざまな効果が報告されていますが、オリゴ乳酸を摂取することで、腸内乳酸菌を増やし、腸管免疫を高めることで、健康増進効果をもたらすと推測しています。長年研究を重ね、効果の期待できる極めて安全性の高い健康素材であることは分かっています。これまでに腸内乳酸菌増殖効果、免疫賦活効果等、有用な生理的機能が見出されています。今後も、引き続きオリゴ乳酸の効能効果を証明するために臨床試験や動物実験などの試験データを積み重ねていくとともに、LACに含まれる成分の詳細な研究も進めていきたいと思っています。
「乳酸」と「乳酸菌」は名前が似ていることから混同されがちですが、全く違うものです。乳酸とは乳酸菌という微生物が糖を食べた結果生み出した物質。つまり、乳酸は生成物であり、乳酸菌は生き物です。また、人にとって乳酸は重要なエネルギー源であるブトウ糖の素となる物質でもあります。味噌やしょうゆなどの食品のほか、点滴等の医薬品でも使用されています。
偉大な発見が思わぬ偶然から生まれることは珍しくない。世界初の抗生物質・ペニシリン。これは、スコットランド人の細菌学者アレキサンダー・フレミングが研究していたブドウ球菌の培養皿のひとつにカビが生え、その周りでは菌の発育が抑制されることに気づいたことが発見のきっかけだった。この現象を見逃さなかったフレミングは、アオカビが細菌を殺す物質をつくりだしていることを突き止め、これをペニシリンと名付けた。オリゴ乳酸もまさに培養の過程でその存在が示唆された。今後の研究でオリゴ乳酸の潜在能力がどこまで明らかになるのか注目である。
