わずか数年の間に急速に支持を広げたオーガニック&ナチュラルコスメの数々。
自然成分の瑞々しさをデザインの美しさで感性に訴えかける
高感度なブランディング戦略に注目が集まる。
21世紀がまだはじまって間もない頃、ジュリア・ロバーツやレオナルド・ディカプリオらのハリウッドセレブたちがこぞってハイブリッドカーの“プリウス”に乗り、マドンナがヘルシーな和食やマクロビオティックの食事をしはじめた。このあたりから、じわじわと「ナチュラル志向は格好いい」「エコすることがファッションの一部」という世界的なトレンドが渦巻きはじめた。その後、地球にやさしい生活を心がけながら、自らの健康への気遣いを忘れないサスティナブルな価値観“LOHAS”がマスコミを大いに賑わせた。その潮流が、新たなライフスタイル全般を形容する世界的なメガトレンドとなったことは記憶に新しい。
特に都市に住む高感度な現代女性においては、オーガニック素材の服を着こなすことやエコバックを身に付けたりカラダに安全な食材を選んだりすることが特別なことではなく、ごく自然なライフスタイルとして定着し始めているといっても過言ではない。その延長線上で、化粧品業界においても肌につける化粧品は「ケミカル(化学的)なものよりは自然成分、天然由来のほうがいい」という顧客の意識変化が起こることにつながっていった。近年のオーガニック&ナチュラルコスメの人気は、こうした背景の中わずか数年のうちに急速に拡大したといってよい。自然由来のハーブ成分をふんだんに使った商品からアロマテラピー的な派生商品まで、幅広い商品群は多くのオーガニックコスメのブランドを生み出していった。すでに2007年度時点の市場規模において832億円(前年比6.5%増)となっており、今年度においては900億円が視野に入ってくる勢いである。
なぜ女性たちはこれらのブランドに惹かれるのか。ひとつは、素材への徹底したこだわりに基づく商品コンセプトに安心感を覚えるという。さらには、乾燥した空気や紫外線などの外的ストレスや様々なアレルギーによって女性たちの肌が敏感になってきていることも、こうした商品が選ばれる理由になっているようだ。しかしながら、ただ自然由来のコスメを作るだけでは、現代女性の興味を引くことはできない。ターゲットの潜在的ニーズに応える優れたブランディング力と、クオリティーの高いパッケージデザインがあってこそ、彼女たちの感性を揺さぶるのだ。
今ほどオーガニック&ナチュラルコスメがもてはやされていなかった10年ほど前といえば、自然由来を売りにする化粧品は概ね地味で野暮ったいイメージがあった。しかし、国内においては、ここ数年でアロマテラピーに重きをおいた欧米ブランドが次々と導入され、パッケージやカタログなどのビジュアルイメージを巧みにコーディネートしたプロモーションが多くの女性の心を掴んでいった。日本のメーカーもその動きを見逃すことなく、周到にブランディング戦略を練り、まるで欧米発のようなクオリティーの高いブランドを次々と立ち上げていった。
ナチュラルコスメ注目ブランド今回の特集では、この活況を呈するオーガニック&ナチュラル市場の動向を俯瞰しつつ、主力ブランドの中からとりわけ注目を集めている5社に取材を試み、各社独自のブランディング戦略と今後の展望を伺った。 |
大地に伸びる根。開こうとするつぼみ。新芽のもつ潜在能力を感じさせるデザインでオーストラリア発、オーガニックコスメの王道を表現。農法から印刷まで徹底してエコにこだわる。 |
日常のなかで整然と美しく、 |
ハーブの素材に重きをおき、 |
ライフスタイルプロダクトのメーカーが、コスメを作ったらこうなった! |
世界各地の先住民族と共に歩むオーガニックコスメ・アヴェダ。 |