アスタキサンチン原料特集。業界復調機運受け、いよいよ活性化し始めた市場を徹底リポート

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注目の原料 アスタキサンチン

アスタキサンチン市場がいよいよ本格的に活性化し始めた。ビタミンEの1000倍ともいわれる高い抗酸化力などの機能性に加え、数年前に量産技術が確立されたことで注目され、着実に伸張を続けてきたが、昨年の〝健食不況〟の余波で拡大機運がシュリンク。だが、その間にもしっかりとデータが蓄積され、取り扱いサプライヤーも急増。業界復調ムードとメタボ健診スタートの追い風に乗り2008年、万能素材として再び注目度が高まっている。

アスタキサンチンとは?

アスタキサンチン(粉末・液状)▲アスタキサンチン(粉末・液状)

βカロテンなどと同じカロテノイドの一種で、マダイ・サケ・イクラなどの魚類やエビ・カニなどの甲殻類に含まれる赤色~橙色を呈する天然色素成分。これらの生物に含まれるアスタキサンチンは、主に水域での食物連鎖において捕食した餌から蓄積されたもの。 抗酸化作用が強いことが知られているカロテノイドの中でも、アスタキサンチンはもっとも優れた抗酸化作用を持つといわれている。

天然のアスタキサンチン原料は、かつてはオキアミから抽出・精製されたものが養殖魚などの色揚げ剤として利用されていた。近年、へマトコッカス藻の大量培養技術が確立したことで、その強力な抗酸化作用で注目されるようになり、食品分野とくにサプリメントとしての利用が活発化する。同時に、生理機能などに関する研究も大きく進展した。

アスタキサンチン含有量

アスタキサンチン含有量

アスタキサンチンの機能性

アスタキサンチンの抗酸化作用は非常に高く、活性酵素の中でもとくに毒性の強い「一重項酸素」の酸化反応と、体の組織を連鎖的に障害していく「過酸化脂質」の消去に優れていることされている。一重項酸素酸化に対する抑制効果は、βカロテンの40倍の活性を示し、皮膚の光による老化を抑制する作用を持つといわれている。一方、脂質過酸化を阻害する効果は、ビタミンEの約1000倍という報告もあり、血液中のLDLコレステロールの酸化を抑え、血管壁を守るとされている。

また、アスタキサンチンは、血液脳関門を通れる数少ない物質のひとつであり、脳や目でもその抗酸化力を発揮するという報告もある。そのため、脳の抗疲労作用や老化防止作用、眼精疲労の緩和、パーキンソン病の発症予防に対する効果なども期待されており、動物試験では記憶や学習に関する改善効果が報告されている。

ヤマハ発動機は、アスタキサンチンの脳機能改善効果について検証。アスタキサンチン摂取12週間後の検査で摂取前に比べて反応時間の改善(図1)、記憶力を示す「作動記憶」の正答率が向上(図2)という結果を得ている。

アスタキサンチンの脳機能改善効果について

アスタキサンチンの脳機能改善効果について

50~69歳の、加齢に伴う物忘れ傾向を自覚するが脳機能障害には該当しない健常な男性10名にアスタキサンチンを1 日12mg、12週間摂取してもらい、摂取前、摂取6週後、摂取12週後に認知機能を検査。 CogHealthというパソコンモニターに映し出されるトランプに反応してボタンを押す5つの作業の検査をしたところ、摂取12週後検査 ですべての反応時間が改善(図1)。また、記憶力を示す「作動記憶」の正答率が 向上(図2)した。

データ提供=ヤマハ発動機

アスタキサンチンの企業動向

バイオジェニックはヘマトコッカス藻の培養に適した中国・昆明市で2005年8月に野外培養生産を開始。同工場で培養したヘマトコッカス乾燥バイオマスを日本国内で精製し、オイル製品、エマルジョン製品、水溶化パウダー製品に加工。「Astabio」ブランドで一般食品、健康食品、飲料、化粧品等の分野へ供給する。武田紙器は、世界一の生産量(4%~5%バイオマスで35トン/年)と技術力を誇るAlgatechnologies社と独占契約。アスタキサンチン濃度2%の透明・無味・無臭型乳化製剤を2月に上市。35%、20%含有の高濃度・無臭オイルなど、独自の超臨界技術による高品質製品を揃え、他社との差別化を図る。

トレードピアは7%オイル(ソフトカプセル)2.5%マイクロカプセル、2%水溶性カプセルなど、幅広い品揃えで多様な用途に対応する。2000年より「バイオアスチン」ブランドとして取り扱う東洋酵素化学は、オイル状7%、10%含有品、2%パウダー品、透明水溶性タイプ1%などを用意。 バイオアスチンは提携企業の米・バイオベンチャー、サイアノテックコーポレーションの藻類培養に理想的な自然条件を備える工場で独自技術により生産される。

バイオアクティブズジャパンは、微細藻類のヘマトコッカス抽出のアスタキサンチンを扱う。パウダーでは高濃度の5%から10%含有品、オイルペーストをラインナップする。グループ企業のインド工場で処理しており、価格競争力もある。YAMAHAは独自技術と万全の品質管理体制のもとアスタキサンチンを産み出す微細藻類、ヘマトコッカス藻を培養。生産工場は07年7月に健康食品原料GMPを取得している。

主なアスタキサンチン扱い企業

企業名 動 向
ヤマハ発動機 原料となる藻類の培養から製品化までを国内で一貫して生産
バイオアクティブズジャパン インド製の価格競争力と高濃度パウダー品で市場参入
東洋酵素化学 ハワイ島コナ培養の高品質品を豊富なデータで裏づけ
武田紙器 世界一の生産量・技術力を誇るAlga.社と独占契約。 品質徹底的追及の高品質製品で
差別化を図る
トレードピア 7%オイル、2.5%マイクロカプセルなど多彩なラインナップでニーズに対応
富士化学 94年以来世界最大級の生産量と実績誇るリーディングカンパニー
バイオジェニック 価格競争力と品質兼ね備える中国昆明工場培養国内加工の「Astabio」
Special Interview
ヤマハ発動機(株) ライフサイエンス事業推進部 営業グループリーダー 菅野 忠臣氏にアスタキサンチンの展望と今後の展開を聞く

アスタキサンチンの展望と今後の展開を聞く

ヤマハ発動機(株) ライフサイエンス事業推進部
営業グループリーダー
菅野 忠臣

弊社は、医薬品と同等レベルでの安全性を重視してアスタキサンチン原料を製造しております。静岡県袋井市にある自社工場は、室入退出管理はもちろん、独自に開発した「高効率バイオリアクター」によるアスタキサンチンを産み出す微細藻類であるヘマトコッカス藻の培養を、密封型インナーフィルムの中で行うなど万全の品質管理体制を敷いています。 工場は、07年7月に健康食品原料GMPを取得しており、原材料自体での取得は弊社が4社目です。製造工程の最上流から出荷まで、GMPに基づいて造っているという点は、健康素材のなかでもかなり特長的であると言えるのはないでしょうか。

品質管理体制を敷く培養ルーム▲品質管理体制を敷く培養ルーム

また、弊社ならではの強みにエンジニアリング技術があります。従来の屋外型の培養は、太陽光に依存するため、品質や生産量が季節や天候に左右され、管理が困難でした。弊社は、アスタキサンチンの産生を常に最適な状態となるよう水と温度と光の制御できる「ヤマハ高効率バイオリアクター」を開発しました。この開発には、モーターサイクルやボートなどの開発で培ってきた機械工学や流体力学などのノウハウが活用されています。この装置によって、アスタキサンチンを産み出すヘマトコッカス藻の高効率かつ高衛生、安定的な大量培養が実現されたのです。

アスタキサンチン原料工場▲ アスタキサンチン原料工場

アスタキサンチン市場は、2003年あたりから順調に1.2~1.5倍ペースで伸びているといわれています。弊社は、今後のエビデンス訴求としては抗メタボに加え、脳機能をもうひとつの柱として据えていく予定です。それから、営業面では、食品やサプリメントメーカー様に対して、コラーゲンなど異なる素材と合わせた複合系のサプリメントなどのご提案と商品開発のサポートを積極的に行っていきたいと思っております。 当社は、プロダクトメーカーならではの先進技術を活用し、企業目的である『世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する』ために、国内のみならず、将来はグローバルに事業を展開し、さらなる拡大を目指してまいります。

ヤマハ発動機のアスタキサンチン原料ピュアスタ

2008.6.30 update

サケの一生を支える
エネルギー源

サケの身が赤いのは、体内に蓄えたアスタキサンチンの赤い色素によるもので、本来は白身の魚である。

サケの身が赤いのはアスタキサンチンの赤い色素による

サケは、産卵時に激流を遡上するパワーを得るために、海にいる間にアスタキサンチンを含むエサを大量に摂取し、アスタキサンチンを筋肉に蓄えると言われている。サケの身が白から赤へと変化するのは、川の流れをさかのぼる運動の激しさから。

また、その卵であるイクラにもアスタキサンチンは受け継がれる。イクラはアスタキサンチンが不足していると孵化できない。アスタキサンチンはサケの一生を支えているのだ。

ヘマトコッカス藻

ヘマトコッカス藻は、河川や湖に生息する淡水の単細胞緑藻で、通常は緑色の藻体。強い光を受けると硬い細胞壁を形成し、細胞内にアスタキサンチンを生成・蓄積して赤く染まっていく。この現象は、これは紫外線による酸化から身を守るため、ヘマトコッカス藻が自らアスタキサンチンを生成することにより起きるといわれている。

ヘマトコッカス藻(通常時
▲ヘマトコッカス藻(通常時)
ヘマトコッカス藻(アスタキサンチン生成時)
▲ヘマトコッカス藻(アスタキサンチン生成時)

アスタキサンチン末端製品

ヤマハ発動機は、アスタキサンチンサプリメント「ASTIVO(アスティボ)」を発売。1日の摂取目安量を2粒で6mgと設定し、健康維持を心がける中高年層をターゲットにしている。

ヤマハ発動機「ASTIVO(アスティボ)」
▲ヤマハ発動機「ASTIVO(アスティボ)」

ファイテンは、アスタキサンチンと神経伝達の働きをスムーズにするといわれる金をナノレベルで微粒子化した純金ナノコロイドを配合したサプリメント「ファイテン アスタキサンチン GOLD」を販売する。

ファイテン「ファイテン アスタキサンチン GOLD」
▲ファイテン「ファイテン アスタキサンチン GOLD」

オリヒロはアスタキサンチンに加え、トコトリエノール、ビタミンCを配合したサプリメント「オリヒロ アスタキサンチン」を販売する。

オリヒロ「オリヒロ アスタキサンチン」
▲オリヒロ「オリヒロ アスタキサンチン」

アスタキサンチン研究会

アスタキサンチンに関する基礎から応用開発にわたる研究の活性化を促し、研究成果の普及を目指し、2005年7月にアスタキサンチン研究会(JSA:Japanese Society for Astaxanthin)が発足。設立発起人には京都府立医科大学大学院の吉川敏一教授(免疫内科学)ほか、板倉弘重・茨城キリスト教大学教授、大澤俊彦・名古屋大学大学院教授、矢澤一良・東京海洋大学大学院教授が名を連ねる。

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