エコマネジメント
人の肌をケアする魚“ドクターフィッシュ”

(株)エコマネジメント(本社東京都港区、永沼克芳社長)は、人などの角質を食べることでピーリング効果や皮膚疾患の治癒効果をもたらす魚“ドクターフィッシュ”の量産体制が確立したため、温浴やスパ施設、エステサロン、医療機関などへの本格的な導入に向けて動き出した。
ドクターフィッシュは、学名ガッラ・ルファ・オブトゥサ。トルコ原産で、水温37度でも生育が可能だ。トルコでは温泉などに生息する。その名の由来は、温泉に入る人の古い角質をついばんで、皮膚病の乾癬を治療するとされてきたため。ドイツでは温泉療法のプログラムの一環で、保険適用される医療行為としてドクターフィッシュの使用が認められている。日本では、ロハス思想と自然療法・伝統療法の集大成としてのスパ“ロハスパ”を提唱するNPO法人日本スパ評議会が、ドクターフィッシュを認定商品として推奨している。
ドクターフィッシュは、水槽や浴槽に入ってきた人の身体の周囲に集まり、肌の古い角質や汚れを食べる。それらを選択的についばむため、皮膚への悪影響や、痛みなどは全くない。ついばむ時と、肌の周りを泳ぐ際に軽いマッサージ効果も生まれる。体験した人の感想には「軽い低周波治療を受けているようだ」というものもある。
同社ではスパ施設のほかに、美肌効果を狙うエステサロンなどへ導入するため、空気触媒や化粧品を製造販売する(株)ポードペシェと組んでピーリング後に使う専用化粧品の開発も行った。ピーリング後はローションなどの成分が肌に浸透しやすい。ポードペシェは成分に天然物のみを使用して開発を行っており、肌や魚に悪影響がない上、総合的なナチュラル感の演出にも一役買う。
また、4週間でアトピー性皮膚炎が改善される例も多く見られるため、皮膚疾患の治療や改善を目的としたクリニックなどへの導入も期待する。長らくドクターフィッシュの効果は海外で知られていたとはいえ、温泉成分との相乗効果とみなされていた。しかし、同社が水道水を使用してドクターフィッシュの治癒効果を実験したところ、同等の結果が得られ、魚自体の効能が示されたという。メカニズムははっきりと確認されていないため、現在、ドクターフィッシュの効果について大学での調査研究が進められている。
アニマルテラピーの要素も取り入れ、老人保健施設やリハビリ施設での活用も考えられる。

管理が難しいため、魚のみを販売することは行わず、店子方式、リース方式での施設への導入を図る。そのほか、イベント・催事企画の要請も積極的に受けていく考え。現在、東京お台場の温浴施設「大江戸温泉物語」で期間限定の体験イベントを行い、4月中旬からの本格導入へ向けたリサーチを行っている。ほかにも、ホテルなどへの導入がすでに決定した。同社・永沼社長は「話題性があるため、温泉やリゾートの宿泊施設や様々な店舗への集客を見込める。事業再生の起爆剤として活用できる」と話す。ドクターフィッシュを軸に、食事療法なども取り入れたロングステイ型治療施設の設置も提案していく。
同社では2年半前から高松で繁殖に取り組み成功、このほど、場所を沖縄に移して量産体制に入った。月産でおよそ4~5万匹を生産。沖縄県からのバックアップを受け、特産品としても打ち出していく計画も進む。
さらに“フィッシュメイト会員”を募集し、登録者には導入情報?発信と、施術や“連コスメの割引クーポン発行などを予定する。永沼社長は「スタートの今年は、施設や店舗への導入実績を作るとともに、ドクターフィッシュの認知を広める、日本に根付かせる活動を積極的に行っていきたい」と話している。