独自素材の合成コラーゲン「ピュアコラ」を使ったJNCの「美転写フィルム」
消費者ニーズの多様化にあわせ“商品力”の重要性が一段と増す化粧品業界。機能性の高い素材開発はもちろん、素材を最大限に活かした斬新な加工品も出始めている。独自素材の合成コラーゲン「ピュアコラ」を使ったJNCの「美転写フィルム」は、困難とされたコラーゲンのフィルム化をクリアした“次世代の美肌アイテム”として、化粧品メーカーから注目を集めている。
美転写フィルムは、水さえあれば可能なピンポイントケア

肌の気になるところを湿らせ、不織布をベースにした一円玉大の「美転写フィルム」を貼りつける。上から軽く撫でるとその瞬間に膜状の保湿成分が不織布から肌へ転写される。不織布をはがし、肌に付着した膜を指でなじませる。濡らして、貼って、はがして、広げる。たったこれだけでピンポイントケアの完了である。しかも、効果は1日持続するという。
合成コラーゲンの特性が実現した製品化

ありそうでなかったこの製品。実は、完成するにはひとつのネックがあった。保湿成分の熱変性だ。通常のコラーゲンでは、加工時の熱変性や保存性により、フィルム状にすることは困難。作りたくても作れない大きな壁だった。その壁を打ち破ったのが、同社の独自素材「ピュアコラ」だ。不純物を含まず、高い熱安定性を誇る同原料は、難なく課題をクリアし、製品化に貢献した。
データ上では、豚皮膚コラーゲンとピュアコラの比較で、豚皮膚コラーゲンが40℃を境に急激に安定性が下落し、ゼラチン化するのに対し、ピュアコラでは80度を過ぎても安定性が維持され、3重のらせん構造が保たれる(右・表参照)。「美転写フィルム」としては、フィルム化に伴う熱風乾燥により、コラーゲン、ヒアルロン酸の濃度が高くなるメリットもある。
多彩なオプションでOEMに対応
OEMを依頼する化粧品メーカーにとって、多様な加工オプションがあることも魅力といえる。サンプル製品では、ピュアコラとヒアルロン酸をメインとしているが、それ以外の成分の含有にも対応する。さらに同社は不織布メーカーでもあり、不織布の種類・形状なども多様なラインナップを揃える。クライアント企業は、意向を存分に反映したオリジナルの「美転写フィルム」を形にすることも可能なのだ。
例えば、不織布を疎水性にすると、水を弾くため、転写感の高さを実感できる。一方、親水性の不織布の場合、外側から水を入れて使用できるため、シートの上からスチームなどをあてるなどの使い方が可能となる。従って、一般向けには前者、エステなどの業務用での使用を検討する場合には、後者が適しているといえる。カラーバリエーション、サイズにも柔軟に対応可能で、シートマスクタイプや年代別のデザイン展開も可能となるだろう。
美転写フィルムは、実は研究途上の産物
世界初の合成コラーゲンをベースに、その機能性を最大限に引き出す企画製品として誕生した“次世代の美肌アイテム”。早くも化粧品業界での注目度は高まっているが、実は研究途上の産物でもある。もともとは、非常に高い止血効果を誇るピュアコラを活用し、創傷被覆材をゴールとして開発がスタート。その過程で、安全性や機能性の面で化粧品用途も可能では、とのひらめきを形にし、「美転写フィルム」は生まれた。


同社にとって、「美転写フィルム」は単なる原料提案に留まらない。合成コラーゲンの可能性の提案であり、化粧品業界へのチャレンジでもある。そうした一環で、まつげのトリートメント剤に配合し、長時間その効果をキープする試作品も完成している。「美転写フィルム」の第二弾となる凍結乾燥バージョンのスタンプタイプのアイテムの開発も大詰めを迎えている。
医療材として開発がスタートし、その過程で生まれたユニークな美肌アイテム。より一層“製品力”が問われる時代にあって、高い機能性を誇る独自原料にプラスαの付加価値を加えた「美転写フィルム」は、ひとつの解を提示しているともいえる。同社では、今後も合成コラーゲンが秘める可能性を徹底追求しながら、原料と合わせたトータルの戦略で、市場の拡大を進めていく。


開発のスタートは、実は創傷被覆材としてのものでした。合成コラーゲンの非常に高い止血効果を活かし、医療材として活用すべく開発に着手したのです。その過程で、まずは化粧品用途としての可能性を検討しました。理由は2点。ひとつは、フィルム状にする目的が、保存料をなくすことがあった点です。それはつまり肌に優しいということです。そしてもう一点は、フィルム状にすることで携帯性が非常に高まるということです。いつでもどこでも肌ケアができるというニーズは潜在的にも高いですからね。この2点に加え、当時は化粧品市場でヒアルロン酸、コラーゲンがブームだったことも化粧品用途とすることへの後押しとなりました。結果的に高濃度のコラーゲン、ヒアルロン酸を含んだ、簡単に使えて、非動物由来原料で保存料不使用の美肌アイテムとして、化粧品メーカーから非常に好反応を受けました。
現在は、熱風乾燥でフィルム状にした「美転写フィルム」の姉妹アイテムとして、凍結乾燥させたスタンプタイプの開発も大詰めを迎えています。最終的には医療用としての展開も考えていますが、まずは化粧品用途で合成コラーゲンの秘めるさまざま可能性を追求しながら、市場を拡大していければと考えています。


発酵や合成により製造したアミノ酸のみを使用した非動物由来高分子コラーゲン。 天然由来の特徴をもちながら耐熱性、安全性などにすぐれ、化粧品原料として多様な可能性を秘める。これまで市場にはコラーゲンの合成モノはなく、動物由来が一般的だった。


不織布の片面にフィルム状にしたピュアコラを貼り付けた美転写フィルム。実は、開発の過程では、単に不織布に「ピュアコラ」を含浸させるタイプも試作された。しかし、使用後、まだ不織布にしみ込んだピュアコラを搾り出そうとするなど“無駄”があり、フィルムを転写させる完成形となった。
チッソ株式会社から事業を引き継ぎ、2011年4月1日に営業を開始。『優れた技術で、社会の進歩に貢献する先端化学企業』をモットーとしてエレクトロニクスの最先端技術である液晶材料や有機EL材料、ナノテクノロジーを応用した精密加工材料やES繊維・不織布など、独自の製品開発を行う。

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