TOPページ > 薬事法研究室 > 実践編【温故知新(3) 第6回】

温故知新 -薬事法のブレークスルーが成否を分ける-

【第3回】「●●酒のW戦略」

健食販促戦略の手法のひとつに「W戦略」と呼ばれるものがあります。今回はその代表的な事例を紹介します。

W戦略とは?

CMなどで有名な「●●酒」。実は健康食品としての「●●酒」と医薬品としての「薬用●●酒」の2種類の商品があります。そのそれぞれに一長一短があるのですが、それをうまく利用したやり方がW戦略と言われています。例えば「●●酒」は健康食品なので効能は謳えませんが通販は可能です。他方、「薬用●●酒」の方は医薬品なので、許可された効能は謳えますが、医薬品の場合、原則通販は不可となります。

このように、それぞれに長所と短所があるわけですが、「健康食品と医薬品の2種類を売ることで、双方の足りない部分を補うことができる。」という点に着目したやりかたがW戦略です。ここでその手法の詳細(※)まで述べることは控えておきますが、参考として、医薬品として売る場合と健康食品として売る場合を比較した表を掲載します。

  医薬品として売る場合 健康食品として売る場合
販売許可 厚生労働省の許可必要 厚生労働省の許可不要
効能効果 自由にうたえる 原則としてうたえない
売る場所 薬局・ドラッグストアしか売れない どこでも売れる
副作用 副作用のイメージが強い 副作用のイメージは弱い
用法用量 ①うたう必要がある
②リピートをすすめるのはおかしい
①うたえない
②リピートをすすめることができる

W戦略の終焉

短所を補うW戦略ですが、現在ではその役割を終えていると言えます。その理由は以下のふたつです。

ひとつは許可が必要であった医薬品の通販が近年では事実上、可能になってきたということです。現在のところ、法令では7つの薬効群が通販可能と認められており、それ以外の薬効群の場合は行政との協議によるとされています。しかし、実際は指定の薬効群以外の医薬品でも通販を行っている業者は多く、上記した「薬用●●酒」を通販で扱っている業者もあります。

応用が利く手法

もうひとつは昨年、医薬品が部外品に移行したことです。部外品に移行すれば通販は問題なく可能です。「薬用●●酒」も部外品に移行すれば通販可能となります。 よって、現在は「●●酒」のW戦略はその役割を終えています。ただ、このシャープな発想は現在でも健食の販促において大きな思想を与えています。互いの短所を補うというW戦略は医薬品と健康食品の場合だけに適合するのではなく、例えば明らか食品と健康食品という場合など、多種多様に応用が利く手法として知られています。

TOPページ > 薬事法研究室 > 実践編【温故知新(3) 第6回】