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薬事法研究室

薬事法をひもとく

【第7回】その他、健食ビジネスの関連法令について

(1)景表法について

●健康食品の販促において、気をつけなければならない法律は薬事法だけではありません。
●今回は健食関連法令のひとつである「景表法」について、販促戦略上必要な論点を解説します。

1.景表法とは
景表法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。この法律は独占禁止法の特別法と位置づけられ、公正な市場競争を維持するために「景品」及び「不当表示」について定めた法律です。 なお、景表法は独占禁止法と同じく公正取引委員会(以下、公取)が所轄で扱っています。

この景表法が健食業界に多大な影響を及ぼすようになったのは平成15年の改正からだといわれています。 従来は不当表示の規定に関して、公取が不当表示であることを立証しなければならないとされていましたが、平成15年の改正によって公取の方が業者に不当表示ではないことの立証を要求できるようになりました。 さらに、同年発表のガイドラインによって「2週間以内に証拠を出さなければならない」「体験談は原則として合理的な根拠として認めない」という基準が設けられたことにより、健食業者にとっては疎かにできない法律となったのです。

2.優良誤認について
では、具体的に景表法でいう「不当表示」とはどういった表示のことをいうのでしょうか?

景表法第4条(参考資料)によると消費者が「優良誤認」「有利誤認」を招くと認められる表示が不当表示だとされています。

例えば「3ヶ月で10kg痩せる」という広告表示があった場合に、実際にその表示に根拠がなかった場合には、消費者に対して「著しく痩身効果を期待できる」と誤認を与えることになります。よって当該表示は不当表示となり、景表法違反とされるのです。

3.排除命令に至るまで
薬事法違反をしていた場合に行政指導や刑事罰があるように、景表法違反をしていた場合には公取から排除命令や業務停止命令などの行政指導を受けます。

行政指導を受けるまでの大まかな流れは次のとおりです。

3.合理的な根拠について
先程から何度か記載のある「合理的な根拠」。実際にはどの程度の根拠で合理的な根拠となるのでしょうか? 公取はその部分に関しては明確な規準を設けておらず個別に審査する形をとっています。

具体的には例えば体験談で「私は3ヶ月で10kg痩せました」という表示があった場合、その人が実際に3ヶ月間で10kg痩せたというデータがあれば当該表示は根拠ありといえるでしょう。しかし、「○○を3ヶ月飲めば10㎏痩せる」という表示の場合、原則として第三者のデータが必要になります(例えば医療機関で行った臨床研究で有意義のある結果がでたなど)。

根拠なしとみなされれば景表法違反となり、排除命令や業務停止命令を受けることになり、さらに業者名等を公表されるので販促戦略上かなりの痛手となります。

以上のことから、健食広告を作成する際には薬事法だけでなく、景表法についても十分な知識をもって望む必要があるのです。

参考資料

景表法第4条(不当表示禁止

事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。

一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの

2 (省略)

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