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薬事法研究室

薬事法をひもとく

【第5回】刑事事件について(1)

刑事事件の傾向

●警察にも管轄はありますので、実際には地域によってその熱心さは違うと言われています。
●今回は2005年にあった刑事事件の事例を紹介し、刑事事件の傾向について解説します。

1.端緒
基本的に警察がパトロールして薬事法違反をみつけて立件するということはまずありません。多くの場合、警察が動き出すきっかけは同業者のチクリです。つま り、消費者を装った同業者が違反文書を警察に提出して立件を求め、その結果警察が動き出すということです。また、消費者問題を引き起こし、多数のクレーム が消費者センターに寄せられ、消費者センターから警察に立件を求めることもあります。
なお、行政指導⇒刑事事件の流れが一般的だと思われがちですが、実際は「ある日突然警察が来る」というケースが多いようです。

2.立件まで
前述したとおり、警察は違反文書を入手したら裁判所に家宅捜査礼状を求めます。裁判所から発令されたら家宅捜査と任意の事情聴取を行います。
その結果、ある程度証拠が固まり、誰を逮捕すべきかが判断できた時点で関係者逮捕となります。多くの場合、逮捕されるのは基本的に代表者だが末端の従業員 が逮捕されることもあります。(なお、多くの場合、末端の従業員は逮捕されても知っていることを喋れば釈放されます。)

3.立件後
薬事法違反事件は多くの場合「略式裁判」という形を取ります。つまり、公判は開かず、即日書面審理で結論を出します。罰金の金額はだいたい50万円程度となっているようです。略式裁判であればこれで一件落着となり釈放されます(ただし、前科一犯となります)。
被害が大きいときや悪質なとき、医師法違反容疑等他の容疑も絡むといった場合は略式裁判ではなく「正式裁判」となります。つまり、正式に起訴が行われ、公判も開かれ、普通に判決が下されます。
多くの場合、執行猶予が付いて、罰金100万円程度。逮捕から判決がでるまでは3ヶ月~半年程度かかります。

まとめ

以上、今回は薬事法違反における刑事事件の流れを大まかに解説しました。次回は刑事事件の事例を挙げつつ近年の刑事事件の傾向を解説していきます。

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