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薬事法をひもとく

【第11回】その他、健食ビジネスの関連法令について(5)

(1)JAS法について

■ 健康食品の販促において、気をつけなければならない法律は薬事法だけではありません。

■ 今回は健食関連にもかかわる法案のひとつである「JAS法」について見ていきましょう。

1.JAS法とは

正式名称は「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」といい、「食品表示(品質表示基準)」と「JAS規格(日本農林規格)」の2つの内容を規定しています。

もとより健康食品は、それ用の単独の法律があるわけではありませんから、通常の食品と同様に規制されます。 健康食品の場合は、「食品表示(品質表示基準)」の中の、「加工食品品質表示基準」が関係する他、製品内容によっては後で述べる「遺伝子組換えに関する表示にかかわる品質表示基準」、「有機農産物加工食品の日本農林規格」等のかかわりが出てきます。

JAS法の品質表示の目的は、一般消費者の商品選択に役立てるため、すべての飲食料品を対象に、品質に関する表示を製造業者等に義務づけることであり、対象は、一般消費者を対象にしたすべての飲食料品となります。 但し、酒類(酒税法)、薬事法に規定する医薬品、医薬部外品、化粧品はJAS法の対象外となりますので注意してください。

ここで、JAS法違反にとわれたケースの事例をいくつかご紹介いたしましょう。

【加工食品表示の例】

農水省は2006年5月22日、船橋市の豆腐製造業・小仲井商店に対し、米国産大豆だけを使用した豆腐に国産100%という表示をしたとしてJAS法違反で業務改善を指示した。同社は米国大豆使用豆腐用包材が不足し、以前生産していた国産大豆100%使用の包装材を流用したもよう。関東農政局は、「原産地が表示と違う事を知りながら販売したのは大きな問題である。消費者に優良誤認させる恐れもある」とコメントしている。

【有機表示の例】

農水省は、2006年6月8日、北杜市高根町清里の財団法人「キープ協会」がJAS法で有機農産物加工食品と認可されていない食品に「オーガニック(有機)」と表示し、販売していたとして、同協会と食品を納入していた食品業者3社に「有機」表示をはずすよう命令した。同協会は2001年から4年以上同法で認められていない、ほうとう、茶、ドライフルーツ3種類の食品に「オーガニック」と表示し、有機食品として販売していた。

ほうとうの納品業者は、同社が有機農産加工食品の製造会社として認定を受けていなかった事から同法違反となり、ドライフルーツと茶の納入2業者はJAS法で有機農産物と認められていない海外の原料を使っていたという事である。

ここからは、健康食品のかかわるJAS法の各基準についてご紹介していきましょう。

■ 加工食品品質表示基準

製造又は加工された食品(容器にいれ、又は包装されたもの)への共通表示事項と、表示方法を規定しています。この基準によって規定された表示項目の中には、食品衛生法によって同様の表示が義務付けられている内容もあります。ちなみに、加工食品の容器または包装に一括して表示すべき事項はつぎのとおりです。覚えておいてください。

(1)名称

(2)原材料名(輸入の場合原産国名)
    上記の【加工食品表示の例】はここの表示違反となります。

(3)内容量

(4)賞味期限 →平成15年

(5)保存方法

(6)製造業者等の氏名又は名称及び住所

■ 遺伝子組換えに関する表示にかかわる品質表示区分

遺伝子組換え農産物及び遺伝子組換え農産物を原料とする加工食品については、その旨の表示が、共通表示事項に加えて義務付けられています。

大豆、とうもろこし、馬鈴薯、なたね、綿実5種の農産物及び加工食品のうち対象食品については、「遺伝子組換え」や「遺伝子組換不分別」との表示が義務づけられていますので注意してください。

■ 有機農産物加工食品の日本農林規格

有機農産物及び有機農産物加工食品のJAS規格に適合し、検査に合格し、有機JASマークがつけられたものに限り、「有機栽培」「オーガニック」等の表示ができます。 例えば、「有機農産物」であれば、

1)種まき又は植え付け前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用していない田畑で栽培する。

2)栽培期間中も禁止された農薬、化学肥料は使用しない。

3)遺伝子組換え技術を使用しない。

といったJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、その結果、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。

【有機表示の例】の実例は、上記内容の違反例となります。

今回は、ごく簡単にご紹介いたしましたので、皆様それぞれが細部をご確認いただきたいと思います。健康食品といえ、分類は一般食品ですので基本の押さえが大事です。次回の食品衛生法とあわせ学習を進めていただければと思います。

最後に、健康食品の表示・広告について内容別にまとめた表をご覧下さい。

広告・表示 基本表示事項 JAS法、食品衛生法
虚偽・誇大 景品表示法
健康増進法
特商法
医薬品的効能効果 薬事法
適切な情報提供 JAS法、健康増進法
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