


アンジオポエチン1に代わるTie2活性化物質としての役割が確認されている「ヒハツ」。前回の連載2回目では、ヒハツによる「むくみ改善効果」の試験結果からその可能性が示されたことをレポートした。3回目となる今回は、最新の研究データを交えながら、
ヒハツによる「クマの改善」、「肩こりの改善」
についての検証にフォーカスをあてる。
最新の研究では、ヒハツのリンパ管回収機能強化に関与するデータ

アンジオポエチン1の代替物質として、Tie2活性化が確認されているヒハツ。その根本のメカニズムは、血管やリンパ管の老化を予防することによる血流改善とスムースな老廃物の回収。血管の老化は、そのまま肉体の衰えと連動するため、その予防作用をもつ植物エキスには、さまざまなアンチエイジング効果が期待される。
最新の研究では、ヒハツがリンパ管の回収機能強化に関与するデータが示されている。血管やリンパ管を構成する内皮細胞には、クローディン5(CLD5)と呼ばれるタイトジャンクション(※)構成タンパク質の一つが存在し、細胞同士の密着結合に関与している。特にリンパ管では、加齢とともにCLD5の発現が低下することが報告され、その重要性が分かってきている。リンパ管内皮細胞を用いた試験において、ヒハツパウダーがそのCLD5の発現を濃度依存的に高める作用が確認されている。(※図1 参照)
マウス実験ではヒハツによるリンパ管の強化・改善も確認
マウス実験においては、ヒハツによるリンパ管の強化・改善効果が確認されている。加齢マウスの耳に青いインクを注入し、リンパ管からの回収の様子を観察。その結果、ヒハツ摂取群では、リンパ管における漏出が少なく、にじみが少ないのに対し、対照群ではにじみが多く、漏れが目立った(※写真1参照)。こうしたことから、ヒハツ摂取により、リンパ管の老廃物回収機能が強化・改善される可能性が示唆された。

「目の下のクマ」、「肩こり」の改善作用も確認
血管やリンパ管の老化予防につながるエビデンスが続々と報告されるヒハツ。Tie2活性化物質としてのヒハツ含有食品摂取によるさらなる可能性を追求すべく、「目の下のクマ」、「肩こり」の改善作用を検証した試験も行われている。試験は、「目の下のクマが気になる」、「肩こりがひどい」とする40歳以上60歳以上の女性を対象に実施。ヒハツ含有食品を1日3錠(ヒハツ150mg相当)4週間にわたり、摂取した後、その変化を調べた。
その結果、目の下のクマの改善効果については、色差計測定で赤みの指標となるa値の平均が、摂取前を100%とする相対値において123.2±7.5%、黄色みの指標b値の平均では相対値で93.4±2.3%となり、さらに経時比較において、a値では検査値、相対値ともに摂取前に比較し摂取後4週間で優位有意に増加、b値では減少した。

黒ずんでいた目の下の赤みの指標が増し、黄色みが減少したことから、目の下の血色や黄ぐすみが改善したと考えられる。このことから、ヒハツ摂取により、「目の下のクマ」の改善作用があることが示唆されたといえる。バス法による結果でも目の下のクマの低減効果は、1.92から4.68となっており、被験者の体感レベルでのアンケート結果でも改善効果がみられる。(※写真2、写真3
参照)
肩こりについては、アンケート結果で8割が「やや効果を感じた」と回答。バス法による数値解析でも1.52から3.60となっており、明らかな効果が確認されている。さらにアンケートでは「化粧ノリがよくなった」、「手足の冷えが少なくなり良く眠れた」、「足首やウエストにスリミング効果を感じた」「アゴのラインがすっきりした」「顔の潤いとハリを感じた」「代謝が良くなった感じがした」といった回答もあった。同試験は、予備試験として真夏の8月に行われており、効果が最も出にくい条件下で実施されたことを考慮すれば、今冬に予定される本試験では確実に有効な結果が得られると期待できそうである。
筋量計による検証でもむくみ改善効果を確認


また、同試験ではむくみ改善効果も検証されている。筋量計(※写真4 参照)により、全身筋肉量及び体内水分量、大腿部筋肉量及び大腿部水分量、下腿部筋肉量及び大腿部水分量を測定した(※図2、図3、図4 参照)。
その結果、摂取前後で全身での水分量の変化は予想通り観られなかったが、大腿部において3%ほど減少、下腿部では殆ど変わらないという結果であった。前回(第2回目)のレポートで下腿におけるむくみ改善が別法で確認されているが、今回の結果と合わせて考えると、ヒハツ含有食品摂取により下腿部ばかりでなく、実は上腿部でもむくみが改善されていると言えるのかもしれない。


いずれも予備試験ではあるが、アンジオポエチン-1の代替物質としてTie2を活性化する植物エキスの一つであるヒハツに期待される作用を裏打ちする結果が示されており、今後のさらなる研究進展による機能性の解明が注目される。特に、その活性本体は何なのかも、大いに気になるところである。というのも、ヒハツの中に含まれている9種以上の成分の構造が既に同定されており、その中のどの成分がTie2の活性本体なのかが明らかになれば、その指標化も可能になるからである。
※タイトジャンクション:隣り合う細胞同士の密接結合のこと。物質の透過を制御する働きが知られる。
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