脂質低下薬のロスバスタチン(商品名:クレストール)は、コレステロール値は高くないが、動脈硬化を示唆する炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)値が高い人の心臓発作や脳卒中の発症、その他の有害な転帰を予防することが、米ニューオーリンズで開かれた米国心臓協会(AHA)年次集会で報告された。
この知見は、製薬会社アストラゼネカの資金提供を受けて実施されたJUPITER臨床試験の結果、得られたもの。米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のPaul Ridker博士らは、LDLコレステロール値130mg/dl未満(130は“境界域高値”)、CRP値2mg/l以上(平均的なリスク)の男女約1万8,000人を、ロスバスタチン20mg/日またはプラセボ(儀薬)投与群に無作為に割り付けた。
男性は50歳以上、女性は60歳以上で、心血管疾患の既往、糖尿病、未治療の高血圧症はなかった。2年の追跡調査の結果、心臓発作、脳卒中、死亡などの心血管イベントが有意に減少し(44%)、ロスバスタチンによりLDL値が50%、CRP値が37%低下した。このため4年間を予定していた試験は2年間で中止となった。
Ridker氏は「この簡易なスクリーニングと治療法を5年間用いれば、米国だけで25万以上の心臓発作、脳卒中、血管再生術、心血管死が予防できる」と述べ、研究チームの1人はリスク評価と治療のパラダイム(科学的認識体系)が変わるとしている。研究結果は、米医学誌「New England Journal of Medicine」11月20日号にも掲載された。
米ニューヨーク大学ランゴンLangoneメディカルセンターのHoward Weintraub博士は、この便益が同種のどのスタチンでもみられるかは疑問であるとしながらも、「この薬剤の恩恵を受ける人が増える」と述べ、別の専門家は「高感度C反応性蛋白(hsCRP)の簡易な血液検査が心血管疾患の有用なマーカーになることが強く示された」としている。
一方、今回の知見に対し、従来のガイドラインがなくなったわけでなく慎重に様子を見るべきであるという専門家や、「CRPは危険因子でも原因を媒介するものでもない。絶対リスク(特定期間内に疾患が発生する確率)の減少について知る必要がある」という別の専門家もいる。(HealthDay News 11月9日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=621170
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