慢性耳感染症によってもたらされた神経損傷が原因で小児の味覚が変化し、高脂肪食品や甘いものを好むようになり、肥満リスクが高まるという研究結果が、米ボストンで開かれた米国心理学会(APA)年次集会で発表された。
米ミネソタ大学(ミネアポリス)耳鼻咽喉科学教授のKathleen Daly氏らは、排液(ドレナージ)チューブによる治療を受けた耳感染症の小児を対象に、出生時から2歳まで追跡調査を実施。中耳の神経損傷が味覚に影響を及ぼし、太る食品の摂取量を増大させる可能性を示した。
米ブラウン大学(ロードアイランド州)のJohn Hayes氏らによる研究は、神経損傷を示す味覚を持つ中年女性110人を対象としたもの。甘いものや高脂肪食品を好む女性ではウエストが大きい傾向がみられた。同氏は「味覚系の損傷により嗜好が変化し、耳感染症がその原因と思われる」と説明。同氏らは別の研究で、重症の耳感染症既往のある未就学児は野菜の摂取量が少なく、甘いものを好み、体重が重いことを示している。
3つ目の研究では、米国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)の疫学者のHoward Hoffman氏が1960年代に全国健康調査に参加した小児1万3,887人のデータを再検討。扁桃摘出術を受けた小児が過体重になる確率は、受けてない小児よりも40%以上高かった。慢性耳感染に対する扁桃摘出術が味蕾(みらい)を変化させ、食習慣に影響を及ぼす可能性があるという。
4番目の研究は、米フロリダ大学歯学部(ゲインズビル)のLinda Bartoshuk氏らによるもの。16~92歳の男女6,584人を対象に、耳感染症の既往の有無を尋ねた結果、中等度から重度の耳感染症の既往がある人では肥満になる確率が62%高いことが判明した。
米エール大学医学部(コネティカット州)予防研究センター所長のDavid L. Katz博士は「耳感染症の既往など多くの要因による味覚の変化が食物の嗜好や摂取量、体重に影響を及ぼすことは理にかなっているが、米国における肥満の蔓延の主な理由はむしろ肥満を生みやすい環境である」と述べている。(HealthDay News 8月14日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=618484
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