脳に血液を送る頸動脈の上に聴診器をあてたときに聴こえる異常音、すなわち頸動脈雑音(ブリュイbruit)が心臓発作、心疾患や脳卒中による死亡のリスク上昇を示す可能性があるとの報告が、英医学誌「The Lancet」5月10日号で報告された。
頸動脈雑音は、動脈内の脂肪性蓄積物による乱血流が原因で生じ、脳卒中リスク上昇の指標になりうると考えられている。米ウォルターリードWalter Reed米軍医療センター(ワシントンDC)の医師らによる今回の研究は、22の研究で得られたデータを検討したもの。被験者は1万7,295人、平均追跡調査期間は4年であった。
検討の結果、頸動脈雑音のある人では、心臓発作の発症率や心血管疾患による死亡率が2倍以上高かった。頸動脈雑音のある患者とない患者を直接比較することができた4つの研究では、心筋梗塞(心臓発作)のオッズ比が2.15、心血管疾患による死亡のオッズ比が2.27であった。研究者らは「頸動脈雑音を認めた場合、医師は冠動脈心疾患(CHD)を強く懸念すべきである」と述べている。
同誌論説の共著者で、フランス、デュピュイトランDupuytren大学病院(リモージュ)のVictor Aboyans博士は「頸動脈雑音の有用性や予後には疑問が残るし、頸動脈のスクリーニングに基づく脳卒中予防の開始は有用でないとする研究もあるが、頸動脈雑音は、医師が心血管疾患のリスク低減対策を強く勧めるきっかけになる」という。
米クリーブランド・クリニック(オハイオ州)心血管コーディネーティングセンターのDeepak Bhatt博士は「脳卒中と冠動脈心疾患のリスクとの関連を示した研究はこれまでにもある。今回の研究は、リスクの高さを数値化した点で有用。ただし、頸動脈雑音を認めた場合、ルーチンとして推奨されていない超音波検査を行うべきかなど実際的な問題も生じる」と述べている。(HealthDay News 5月8日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=615326
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