慢性的な咳には、喘息や胃食道逆流性疾患(GERD)などの他の疾患が関与していると広く信じられているが、そのような考え方が新しい治療薬の開発を妨げているとする見解が、英医学誌「The Lancet」4月19日号に掲載された。
英インペリアル・カレッジ国立心肺研究所(ロンドン)のKian Fan Chung氏と、英レスターLeicester 大学病院(レスター)NHS TrustのIan Pavord氏による2件の研究。1件目の8週間以上持続する咳と定義されている慢性咳嗽(がいそう)に関する研究では、欧州や米国の人口の9~33%を占める慢性咳嗽は喫煙と関連しており、非喫煙者や禁煙者に比べ喫煙者に3倍多く見られる。その他の原因として、急性あるいは慢性感染症、気道疾患、腫瘍、異物、心血管疾患やACE阻害薬などの治療薬によるものが挙げられ、慢性咳嗽は米国では呼吸器外来の10~38%を占めている。
しかし、中には原因が特定できない患者が存在し、その場合は突発性咳嗽(idiopathic cough)と診断される。両氏は、慢性咳嗽の多くの原因に加えて、咳反射(cough reflex)自体が炎症や組織リモデリングを引き起こして咳反射を増幅させ、正のフィードバックプロセスを介して慢性咳喇をさらに持続させるとしている。このため、「咳を効果的に抑制するためには、咳の原因となる疾患のコントロールだけでなく、咳反射経路の脱感受性(desensitization、遮断)が必要」と結論付けている。
2件目は、慢性咳嗽の管理法に関する研究で、突発性咳嗽は喘息、GERD、上気道疾患などが原因であり、これらの疾患を治療すれば咳は治まることが多くの証拠で示唆されているが、両氏らはこの考えを疑問視している。
Chung氏らは「二次医療で治療する患者の相当数が慢性咳嗽を十分に抑制できていない。慢性咳嗽は、併存する疾患の影響以外にないという考え方が続くと、異常に高度の咳反射に対する病態生理学の研究を妨げることになり、優れた治療法の開発の機会を損なう」と指摘、「慢性咳嗽患者の相当数が現状の診断法や治療法で診断およびコントロールされていないことの認識と、慢性咳嗽を判定できる手法を開発することで、よりよい治療法を見出すことができる」と述べている。(HealthDay News 4月18日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=614667
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