
鎮痛薬として一般に用いられているイブプロフェンやアセトアミノフェンが、日常用量でウエイト(筋力)トレーニングをしている男女高齢者の筋肉量や筋力の増大を促進させるとの研究結果が、米サンディエゴで開かれた米国実験生物学会(FASEB)年次集会で報告された。
米ボールBall州立大学(インディアナ州マンシー)人間行動研究所(Human Performance Lab、HPL)准教授のTodd A. Trappe氏らは以前、ウエイトリフティングを24時間行った若い男女を対象に、イブプロフェンとアセトアミノフェンの筋代謝に及ぼす短期的な影響を検討したが、効果はネガティブで、これら薬剤がCox(シクロオキシゲナーゼ)と呼ばれる酵素の働きを遮断し、筋肉に新たに蛋白(たんぱく)が加わるのを阻害することが示された。
今回、同氏らは疼痛などでこれらの薬剤を長期間使用する可能性が高い高齢者を対象に、長期的な影響を検討した。HPLの膝伸筋ウエイトトレーニングの3カ月プログラムに登録した60~78歳の男女36人を対象に追跡調査を行い、トレーニングの強度と期間(15~20分のセッションを週3回)は、薬剤を用いずに大腿四頭筋の筋肉量と筋力が有意に増大するレベルとした。
被験者をアセトアミノフェン投与群、イブプロフェン投与群またはプラセボ投与群に無作為に割付け、市販薬の包装に表示されている1日推奨量を投与した。筋組織検体を分析した結果、プラセボ群の筋肉量および筋力の増大は7%であったが、アセトアミノフェンまたはイブプロフェン投与群では40~60%以上であった。
この結果について、Trappe氏は「両薬剤に筋肉増強効果を持つものが含まれているわけではなく、薬剤が筋肉の成長に必要な酵素をブロックすることに対して、筋肉が体に正常な量以上の酵素産生を促す信号を送る、いわゆる過剰補償反応を起こさせる」との仮説を立てている。ただし、この仮説が正しいかどうか現時点では不明なため、さらなる研究で確認されるまではすぐに市販薬を求めることはないように警告している。
米テネシー大学(ノックスビル)運動科学教授のDavid Bassett Jr氏は「ウエイトトレーニングは機能的強度や自立した日常生活活動を行う能力を有意に改善できるため、高齢者には有酸素(エアロビクス)トレーニングよりも重要とする意見もある」と述べつつも、これらの薬剤が本当に筋肉増強に有益と結論付けるには、1つの研究では不十分と指摘している。(HealthDay News 4月6日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=614291
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