乳癌(がん)ワクチンが、乳癌全体の4分の1を占める、HER2-neu蛋白(たんぱく)の過剰発現を認める患者の再発リスクを著しく低減させることが、サンディエゴで開かれた米国癌学会(AACR)年次集会で報告された。HER2-neu過剰発現は転移性および再発乳癌患者に多く見られ、予後不良で他の種類の乳癌に比較して死亡リスクが高いことが知られている。
研究では、米Brooke 陸軍病院(サンアントニオ)のLinda Benavides氏らは、HER2/neu発現とリンパ節転移を認めた乳癌患者165人をワクチン接種群(初回接種+追加接種)94人と対照群74人に割りつけた。ワクチン接種受けた女性全員の免疫力が高まったが、HER2/neu過剰発現が低~中等度、もしくは最近、この種の癌治療に使用されるようになったトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)の適応外の女性において最も効果が認められた。
30カ月の追跡後、高度の過剰発現患者では再発率はワクチン接種群と対照群において大差はなかった(18.2%と13.8%)が、死亡率ではワクチン接種群で50%以上の低減が認められた。低~中等度発現患者では結果はより顕著で、低度の過剰発現患者の再発率は対照群では18.2%であったのに対し、ワクチン接種群では11%、死亡率はそれぞれ38%と0%であった。
研究共著者で、同病院腫瘍外科主任(米軍癌研究所癌ワクチン開発プログラムディレクター)のGeorge Peoples博士は「現状で治療ケアが十分でない乳癌患者の多数において、効果をもたらすという印象をもっており、インフルエンザワクチンと似た免疫寛容が認められる」と述べている。
Benavides氏によると、バイオ技術企業のApthera(テキサス州)が、同ワクチン(商品名:NeuVax)のライセンスをもっており、近く第Ⅲ相臨床試験を計画している。しかし、今のところこのワクチンが市場に出るという保証はない。
米ジョージタウン大学Lombardi 総合癌センター(ワシントンD.C.)の乳癌専門医Minetta Liu博士は「(ワクチン開発は)魅力的な研究分野ではあるが、試験的な域を出ておらず、日の目を見るにはまだ時間を要する。転移癌に対し他のワクチンによる治療が試みられているが、ほとんど成功していない」と述べている。(HealthDay News 4月13日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=614500
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