
アルツハイマー病の特徴として、脳組織内にアミロイドβ(ベータ)などの蛋白(たんぱく)が蓄積するプラーク(老人斑)が認められる。アミロイド阻害物質は、脳組織での蛋白蓄積を予防すると考えられ、アルツハイマー病の予防および治療につながる薬剤候補物質として研究されてきたが、この取り組みを頓挫させるような化学的な知見が、生物化学誌「Nature Chemical Biology」オンライン版1月27日号で報告された。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)薬化学教授のBrian Shoichet氏らは、今回の研究で、アミロイド阻害物質自体が、大きな凝集塊を形成し、脳内のアミロイドを標的とする治療には役立たないことを明らかにした。
同氏らによれば、いったん凝集塊が形成されると、この物質は脳内に移動してアミロイドプラークに作用する能力もアミロイドに対する標的特異性も失い、最終的にすべてを阻害し、どの蛋白もこれに結合するという。同氏は「このような凝集のプロセスはほとんど避けられない」として、アルツハイマー病治療のためにこれらの物質を研究している神経科学者に研究の中止を勧めている。
米エモリー大学(アトランタ)生化学教授のDavid Lynn氏は「化学的にいえばアミロイド蛋白は極度に粘着性であるため、凝集を予防することでアルツハイマー病や蛋白が蓄積する疾患の治療が実現する可能性はこれまでも低かった。競合的に粘着性で、かつ凝集させないものを見つけるというのは、理論的に考えづらい」という。他の治療戦略としては、プラークの排除を目的とした抗体療法やアミロイド形成を緩和させる方法が考えられる。
ただし、両氏によれば、プラークがアルツハイマー病や他の脳疾患を引き起こすのか、それともプラークは疾患の経過で生じる副産物にすぎないのかについては、まだ明らかにされていない。(HealthDay News 1月27日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=612043
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