
男性の前立腺癌(がん)リスクと血液中の性ホルモンの量とは無関係であることが英国の研究で示され、医学誌「Journal of the National Cancer Institute」オンライン版に1月29日掲載された。この知見は、前立腺癌と血中ホルモン濃度の関係を調べた18の研究をレビュー(検討)して得られたもの。
前立腺癌は、米国では男性で皮膚癌に次いで多い癌で、米国癌協会(ACS)によると、2007年に22万人が新たに前立腺癌と診断され、2万7,000人がこの癌で死亡している。50歳以上、黒人、家族歴のある男性は前立腺癌のリスクが高いという。
男性ホルモンであるアンドロゲンの値が高いことは、前立腺癌の危険因子(リスクファクター)であると長い間考えられてきた。英オックスフォード大学Cancer Research UK疫学部門のAndrew Roddam氏らは、ホルモンと癌リスクの関係について検討するために、前立腺癌患者および健常者を含む1万人強の研究データを分析。対象とした研究は1961年から2001年までに実施されたもので、前立腺癌患者のほとんどは60歳以降に診断を受けていた。
年齢、BMI(ボディ・マス・インデックス:肥満指数として用いられる)、結婚歴、教育歴、喫煙歴およびアルコール摂取量などの因子について調整後は、診断前の性ホルモン濃度と前立腺癌発症リスクとの間に統計的な相関は認められなかった。また、性ホルモンの一つが極めて高く、別の性ホルモン濃度が極めて低いというようなホルモン濃度の組み合わせにも、前立腺癌リスクとの関連はみられなかった。
米ノースカロライナ大学医学部助教授のPaul A. Godley博士は、この結果を受けて、研究者は血中ホルモン濃度のような変えることのできない因子でなく、栄養、生活習慣、環境面など改善可能な危険因子の研究に目を向けるべきだと述べている。
一方、米メモリアル・スローン・ケタリング癌センター(ニューヨーク)のPeter T. Scardino博士は、男性ホルモンが前立腺癌と全く無関係と結論付けるのは誤りと警告。「今回の研究は血液中の性ホルモン量をみているが、前立腺自体のホルモン量はまた別であり、前立腺のホルモン環境を変化させることに効果がないと考えてはならない」と述べるとともに、「前立腺を縮小するフィナステリド製剤Proscar(日本国内未承認)や、同じフィナステリドを有効成分とする抜け毛防止用内服薬プロペシアなどは、血液ではなく前立腺内のホルモン値に直接作用するものであり、極めて有用である」としている。(HealthDay News 1月29日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=612138
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