
早期前立腺癌(がん)を有する高齢男性の大多数は、「経過観察(wait-and-see)」という方法をとっても生存率が低下することはないとする大規模研究の結果が、サンフランシスコで開催された2008年泌尿生殖器癌シンポジウム(GCS、米国癌治療学会ASCOなど共催)で発表された。
米国人男性の6人に1人が生涯に一度は前立腺癌と診断されるが、その進行は遅く、現時点では、治療が有益な患者を特定する信頼できる方法がない。今回の研究は、PSA(前立腺特異抗原)血液検査が一般的になって以来初めて前立腺癌の自然経過を調べたもの。PSA検査により従来の方法よりも6~13年早く前立腺癌を検出できようになった。
米ニュージャージー癌研究所/UMDNJ-Robert Wood Johnson医科大学(ニュージャージー州)のGrace Lu-Yau氏らが、1992~2002年にステージIまたはIIの前立腺癌と診断され、治療しなかった男性9,000人以上(平均77歳)のデータを検討。その結果、被験者の72%は、他の原因で死亡するか、外科手術や放射線治療が必要になるほど疾患が進行しなかった。治療を受けた残り2,675人では、診断から治療開始まで平均期間が10年を超えていた。
当然ながら、進行性でない腫瘍を持つ患者のほうが生存期間は長かった。同氏は「前立腺癌が局所化している高齢患者では、治療が生存期間にもたらす便益はそれほど大きくない可能性が高いため、治療による副作用リスクと治療を行わず合併症が発現するリスクとを比較検討することが重要」と述べている。
米ジョンズ・ホプキンス大学(ボルティモア)医学部准教授のBruce Trock博士は、同シンポジウムで、前立腺摘出後PSA値が上昇した男性にサルベージ放射線療法(SRT)を行い、癌による死亡リスクが60%以上低下したという研究結果を報告。同氏らは、前立腺摘出後に癌が再発した男性635人についてレトロスペクティブ(後ろ向き)に解析した。
その結果、10年後に生存していたのは、SRTを受けなかった男性では62%、SRTを受けた男性では86%、SRTとホルモン療法を受けた男性では82%であった。PSA倍加時間(PSA値が最初の2倍になるまでの時間)が6カ月以下の男性で最も治療の有益性が高かった。同氏は「別の研究でこの結果が再現されれば、補助療法を直ちに開始すべきか、SRTを待つべきかを決定する方法を検討する臨床試験につながる」としている。(HealthDay News 2月13日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=612607
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