
肥満や糖尿病が心疾患だけでなく、乳癌(がん)や前立腺癌、結腸直腸癌など悪性腫瘍の発症や重症度にも影響を及ぼすという4つの研究結果が、米フィラデルフィアで開かれた米国癌学会(AACR)主催の「癌予防研究最前線」年次国際会議で発表された。
米ミネソタ大学(ミネアポリス)疫学部のAndrew Flood氏らの研究では、糖尿病の女性で結腸直腸癌発症のリスクが50%増加することが示された。乳癌検出プログラムに8年以上登録していた4万5,000人以上の女性を追跡調査した結果、結腸直腸癌の発症率は交絡因子を考慮しても有意に増加していた。同氏はリスク増加の原因として糖尿病に伴うインスリン値上昇の可能性を挙げている。
米エール大学(コネティカット州)の研究者らの研究は、糖尿病女性ではインスリン値が高いため乳癌による死亡リスクが3倍高いとしている。乳癌の長期試験に参加した女性の血中Cペプチド濃度(インスリン分泌能のマーカー)を測定した結果、8年間でCペプチド濃度が上位3分の1の女性の乳癌による死亡リスクは、下位3分の1の女性の2倍であった。
米ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部(ボルティモア)の研究者らによる研究では、浸潤性乳癌と診断された後の体重増加によって、癌による死亡リスクが有意に上昇した。乳癌の女性4,000人以上をボディ・マス・インデックス(BMI:肥満指数として用いられる)で分類した結果、肥満女性の乳癌による死亡リスクは正常体重の女性の2.4倍で、年齢や閉経状態、喫煙を考慮しても変わらなかった。
また、同大学による別の研究では、前立腺癌の男性264例とそうでない男性264例の血中Cペプチド濃度を測定。試験開始時に濃度が高かった男性は低い男性に比べ、前立腺癌の発症率が3分の1低く、転移のない前立腺癌の発症リスクは半分であった。同大学准教授のElizabeth Platz氏は、糖尿病男性の前立腺癌リスクが低いのは、インスリンが前立腺癌の成長を刺激するテストステロン(男性ホルモン)の活性を低下させるためだと説明している。
同氏は「代謝の異常が癌を促進し、インスリンやその他のホルモン因子は細胞の成長に影響を及ぼし、細胞を増殖させる」と語る。別の専門家は脂肪組織が作るエストロゲン(女性ホルモン)と乳癌との関連性を指摘し、Platz氏は肥満を心疾患の危険因子というだけでなく癌にも影響を及ぼすものとして捉え、肥満の予防を勧めている。(HealthDay News 12月7日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=610633
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