
大きな災害の際に、被害者の身元確認に要する時間を大幅に削減する新しい自動特定システムが日本の研究グループにより開発され、米シカゴで開催された北米放射線学会(RSNA)年次集会で発表された。
この方法により、地震、津波、飛行機墜落事故、テロなどの際の保健当局による対応も改善できると研究グループは述べている。今回の研究を率いた神奈川歯科大学(横須賀市)の小菅栄子氏によると、遺体の損傷が大きく身元の確認が困難な場合、歯の治療記録が最後の手段であることが多いという。
しかし、被害者の数が多いと、手作業による照合では遺体の特定に膨大な時間がかかり、誤りも格段に多くなる。例えば、1985年の日本航空機墜落事故では、犠牲者520人中325人に歯型の照合が必要とされ、2,800人以上の医師、歯科医師、および法医学者が3カ月かけてすべての遺体を特定したという。
この新しい歯型照合システムは、「位相限定相関法(POC)」という技術を利用したもので、ソフトウェアにより、歯科X線写真によくみられる歪(ゆが)みを自動的に調整、補正できる。小菅氏らは、このソフトの実用性を検討するべく、日本人の患者60人の歯科治療前および治療後のX線写真を分析。POCによる画像補正の後、コンピューターがそれぞれのX線写真に最も近い画像を3点、平均3.6秒で選出。その後、法医学の専門家らが最終的な評価を実施した。POCによる1回目の照合では患者の87%が正確に認識され、2回目で98%、3回目で100%に達したという。このシステムにより、法医学的作業が95%削減できると小菅氏らは推定している。
遺族の感情面の混乱も軽減できるという。「日本では亡くなった人を数日から1週間以内に火葬する慣習があるが、大切な人を失っただけでなく、正式な葬儀の手順も踏むことができないとなれば、遺族の痛みは計り知れない」と小菅氏はいう。このシステムが採用されれば、少なくとも正式な葬儀を行うことができる。
米国の専門家もこのシステムの有用性を認めているが、歯型の照合がどのような場面でも役立つというわけではない点を指摘している。2001年の同時多発テロでは、ニューヨークでの犠牲者約3,000人のうち、歯型により身元を特定できたのは約1,500人にとどまったことを挙げ、歯も残らないような災害ではこの方法は使えないと述べている。(HealthDay News 11月27日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=610210
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