
1980年代以降、米国ではCTスキャンの施行件数が急激に増えており、これに伴い高線量の放射線曝露による癌(がん)リスクが増大していることが、米医学誌「New England Journal of Medicine」11月29日号で報告された。この報告は、米コロンビア大学(ニューヨーク)のDavid J. Brenner氏およびEric J. Hall氏らが行ったもの。
現在、米国では年間6,200万件以上のCTスキャン(X線を利用して身体の断面図を撮影する画像検査法)が施行されている。CTスキャンでは、通常行われるX線撮影の50~250倍の放射線量を浴びることになり、個人単位のリスクは小さいものの、大きな集団単位では将来的に問題が出てくるという。
「放射線による固形癌の発症までには長期間を要するが(ただし白血病は10年以内に発症することがある)、数十年後には、今実施されているCTスキャンに起因する癌が、癌全体の1.5~2%を占める」とBrenner氏は述べている。また、年間約400万~500万件のCTスキャンが小児に施行されているが、小児は成人に比べて放射線への感受性が高く、腹部CTスキャン1,000件に1件の割合で癌の発症リスクがあるとも指摘されている。
Brenner氏によると、施行されるCTスキャンの3分の1、年間2,000万件は超音波診断など他の方法でも代用でき、医学的に必要性のないものだという。近年、肺癌の診断、仮想(バーチャル)結腸鏡検査、全身スキャンなどにもCTが使用されるようになってきているが、そのほとんどはリスクを上回る利益(ベネフィット)のあることが証明されているわけではないとHall氏はいう。しかし、CTが優れた診断法であることも事実であり、適正な使用をむやみに避けるべきではないことも両氏は指摘している。
Brenner氏とHall氏は、CTスキャンのリスクを軽減させる手段として、次の3つの提案をしている。放射線量を個々の患者に合わせて調節する、超音波やMRI(磁気共鳴画像)など放射線リスクのない別の手段がある場合はCTスキャンの使用を避ける、CTスキャンの施行件数を減らす-ことである。これにより、年間に成人で2,000万人、小児で100万人が不要な放射線曝露を避けることができるはずだという。
別の専門家も、不要なCTスキャンが多いことは認めている。しかし、放射線に関する不安から、CTを必要とする患者がCTを受けられなくなるのも問題があると指摘。最新の装置では放射線量の調整が可能で、使用線量を減らすことができるという。不適切な施行を少なくするためのガイドラインも既に存在している。(HealthDay News 11月28日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=610396
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