肺癌(がん)患者にかかる医療コストが増大しているにもかかわらず、生存率はほとんど増えていないことが判明した。医学誌「Cancer」オンライン版に10月22日掲載された報告によると、1983~1997年の間に肺癌患者1人あたりのコストは2万ドル(約230万円)以上増えたが、平均余命は1カ月足らずしか伸びていないという。
今回の研究では、全米経済研究所(NBER)のRebecca Woodward氏らが、米国立癌研究所(NCI)のSEER(Surveillance, Epidemiology, and End Results)データベースおよびメディケア(米国の医療保険制度)の払戻しデータを利用し、1980年代前半から1990年代半ばまでの肺癌患者の医療コストおよび予後を調査した。
その結果、肺癌患者の生存1年あたりのコストは平均40万3,142ドル(約4,600万円)。局所性の癌で14万3,614ドル(約1,650万円)、転移性の癌では119万322ドル(約1億3,600万円)であった。しかし、肺癌の1年生存率は、1975~1979年には37%、2002年には42%と、わずか5%しか増えていないことが判明。5年生存率も同様に横ばいで、現在でも約16%にとどまっている。
ある専門家は、現在の米国では肺癌と診断されたら、患者はすべての治療を受けることができると考えるが、将来、医療費が制限されるような状況になったとき、今回のような研究が治療方針の決定に利用されるようになる、と述べている。
一方、医療を制限するべきではなく、肺癌という一疾患だけで判断するのもよい方法ではないという意見もある。コスト削減のためには、より優れた診断法や治療法の開発が必要なほか、肺癌を最初の段階で予防するために、政府が喫煙防止に取り組む必要があることも指摘されている。(HealthDay News 10月23日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=609342
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