
米国で試験段階の経口抗癌(がん)薬を胃癌手術後に使用することにより、日本人患者の生存率が改善したという報告が、米医学誌「New England Journal of Medicine」11月1日号に掲載された。「S-1」と呼ばれるこの薬剤は米国では「治験薬」に分類されるため、今回の結果は米国の癌患者にはあまり大きな意味をもたないと思われるが、胃癌の薬剤治療や放射線治療が推進される可能性もあると米国の専門家は述べている。
この報告は、北里大学医学部講師の桜本信一氏らによるもの。今回の試験に参加した約1,060人は、転移がなく外科手術で治癒する可能性のある患者で、2001~2004年に、被験者の半数には外科手術に加えS-1(経口フッ化ピリミジン)治療を実施し、残りの半数には手術後に経過観察のみ行った。研究は当初3年間継続予定であったが、12カ月の時点でS-1群の生存率が高かったことから中止された。その後の追跡で、全体の3年生存率はS-1群80.1%、手術のみの群で70.1%となった。
S-1は米国でも何度か臨床試験に使用されたことがあるが、高い比率で副作用がみられたため中止された。日本人では薬剤の代謝が白人とは異なり、副作用が少ないのではと思われるという。米テキサス大学M.D.アンダーソン癌センター(ヒューストン)のJaffer Ajani博士によると、胃癌には別の薬剤ないし放射線治療がいくつか使用され、奏効しているが、胃癌治療の第一段階として外科手術を欠くことはできないという。
最近まで、胃癌には薬剤治療や放射線治療はあまり効果がないとの考え方が一般的であったが、Ajani氏はほとんどの患者にこれらの治療を併用しているという。複数の研究で、転移癌患者に化学療法を実施しないよりはする方がよいことが示されており、その後の研究では転移のない癌患者への効果も示されたことから、胃癌の補助療法が少しずつ利用されるようになってきている。(HealthDay News 10月31日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=609593
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