
喫煙は健康にさまざまな害をもたらすが、乳癌(がん)と診断された時点で、その癌の悪性度や後期ステージである比率には影響しないことが示された。また、治療法の選択でも喫煙の影響はみられず、喫煙者も元喫煙者も、乳腺切除などの外科手術を受ける比率は非喫煙者と同程度であった。この知見は、ロサンゼルスで開催された米国治療放射線腫瘍学会(ASTRO)年次集会で発表された。
米フォックス・チェイスFox Chase癌センター(ペンシルベニア州)のMatthew Abramowitz博士らは、1970~2006年に同癌センターで診察を受けた乳癌患者6,162人のデータを分析。約半数(45%)に喫煙経験があったが、診断時に喫煙していたのは9%であった。分析の結果、喫煙と診断時の癌のステージや悪性度との間に有意な相関はみられなかった。
喫煙者では、非喫煙者に比べHer2/Neu陽性腫瘍がわずかに多くみられた。Her2/Neu陽性腫瘍は悪性度が高く治療が困難な腫瘍である。Her2/Neuスクリーニングは35年間の試験期間の途中に登場したもので、実施数も少ないため、今回、喫煙とHer2/Neu陽性腫瘍との相関を検討することはできなかったが、今後の研究対象となる可能性もあるという。
診断時の癌のステージと乳癌の家族歴、ホルモン療法の利用、閉経状況との間にも相関は認められなかった。Abramowitz氏によると、研究期間中に乳癌の早期スクリーニングが促進されたことが、診断時の癌のステージに影響した可能性もあるという。
喫煙は、肺癌、頭頸部癌、食道癌、膀胱癌の危険因子(リスクファクター)であることがわかっているが、乳癌リスクとの相関についてはまだ結論が得られていない。しかし、喫煙する女性はやはり大きな健康リスクを負っていると米国癌協会(ACS)のMichael J.Thun博士は述べている。禁煙しなければ、喫煙により死亡する確率は2分の1であり、生涯に乳癌を発症するリスクは8分の1だという。
米国では1987年以降、乳癌よりも肺癌で死亡する女性が多くなっており、2007年の肺癌による女性の死亡者は7万880人、乳癌による死亡者は4万460人と予測されている。ニコチン依存の女性の禁煙を助けることと、青少年の喫煙開始を未然に防ぐことが大きな課題であるとThun氏は強調している。(HealthDay News 10月29日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=609462
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