実際に起こっていない過去について絶対的な確信をもつ、いわゆる「偽りの記憶」が生じるのは、記憶が処理される脳の領域の違いによるものであるとする知見が報告された。
米デューク大学(ノースカロライナ州)メディカルセンターのRoberto Cabeza氏らは、機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて、実際の記憶および偽りの記憶についてテストを実施し、被験者の脳の活性を分析した。
その結果、強い確信を持ち実際にあった事実である記憶の場合、内側側頭葉(MTL)の活性に増大がみられ、強く確信するが実は偽りであった記憶の場合、前頭葉・頭頂葉ネットワーク(FPN)の活性に増大がみられた。MTLは、出来事の具体的事実について処理する領域で、FPNは出来事の一般概念を処理する領域である。
Cabeza氏は「ヒトの記憶はコンピューターと違い、いつでも完璧に正しいわけではない。人が実際に起こっていない出来事を過去にあったことだと強く確信することはよくある」と述べている。医学誌「Journal of Neuroscience」11月7日号に掲載されたこの知見は、加齢による記憶力の変化を理解するのに有用なほか、アルツハイマー病の早期診断につながる可能性もあるという。
具体的な記憶は永遠に残るわけではなく、最後に残るのは全体の大まかな印象だとCabeza氏はいう。正常な脳では、加齢に伴い、印象を思い起こす能力よりも具体的な詳細を思い起こす能力の方が速く失われるが、アルツハイマー病患者では両者の記憶力が同時に失われることから、早期診断の手がかりになると考えられる。(HealthDay News 11月8日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=609795
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