
高血圧の管理が注射1本でできるようになる可能性があるという。米フロリダ州オーランドで開催された米国心臓協会(AHA)年次集会で、毎日の服薬を不要にする高血圧ワクチンについて、初期研究で有望な結果が得られたことが報告された。研究を行ったのは、スイス、ヴォーVaud州大学病院教授のJuerg Nussberger博士で、このワクチンを製造するCytos Biotechnology社の関係者でもある。
AHA会長のDaniel Jones博士によると、米国では3人に1人が高血圧であるとされるが、患者のうち血圧を管理できている人は37%にとどまっているという。問題の一つは、複雑な投薬計画に従うことの難しさにあると思われる。同集会で報告された別の研究では、高血圧治療を簡素化すると、国のガイドライン通りに投薬するよりも血圧を管理できる患者が多くなることが示された(簡素化群65%、対照群53%)。
CYT006-AngQbと呼ばれるこの新しいワクチンは、血管を収縮させ血圧を上昇させる物質であるアンジオテンシンIIを阻害することにより作用する。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬およびアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)などの既存の薬剤も同じ物質を標的としている。
今回の試験では、軽症ないし中等症の高血圧患者72人を対象に、試験開始から0、4、12週目にワクチン100μgまたは300μg、プラセボ(偽薬)のいずれかを注射した。被験者は男性65人、女性7人で、平均年齢は51.5歳。ワクチン投与群では、いずれの用量でも最初の注射後に抗アンジオテンシンII抗体の産生がみられ、高用量群では有意に反応が高く、持続期間も長かった。14週間後、高用量群では収縮期血圧が5.6mmHg、拡張期血圧が2.8mmHg降下した。
さらに、午前5時から午前8時に生じる血圧の急激な上昇が軽減するという予想外の効果も認められ、収縮期血圧が25mmHg、拡張期血圧が13mmHg降下した。早朝は心臓発作や脳卒中のリスクが最も高い時間帯だという。また、ACE阻害薬やARBではレニンの大幅な上昇がみられるが、このワクチンによるレニンの増大は少なかった。レニンは炎症を引き起こす酵素で、腎不全の原因にもなると考えられている。
今後さらに試験を重ねる必要があり、特に、必要な場合には血圧を上昇させる身体の「回避機構」が働くかどうかを確かめなくてはならないという。また、安全で有効なワクチンであっても患者がまず同意せねばならなく、服薬遵守(コンプライアンス)は100%にはならないとJones氏は指摘している。(HealthDay News 11月6日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=609776
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