
本来は気道を防御する役割をもっていた蛋白(たんぱく)が、重症喘息(ぜんそく)を示すバイオマーカー(生物学的指標)となるほか、喘息の発症自体にも関与している可能性があることが新しい研究で示され、米医学誌「New England Journal of Medicine」11月15日号で報告された。重症喘息のある患者は、喘息のない人に比べYKL-40と呼ばれる蛋白の血中濃度が高い傾向があるという。
米エール大学(コネチカット州)医学部准教授のGeoffrey Chupp博士らは、エール大学、ウィスコンシン大学、パリ大学(フランス)の3施設で、成人253人を対象に血液中のYKL-40値を調べた。パリ大学ではさらに肺生検も実施。エール大学の結果では、軽症喘息群の血液1ml中のYKL-40値は平均49.1ng(ナノグラム)、対照群では58.3ng、中等症喘息群では68.4ng、重症喘息群では77ng/mlで、パリ大学およびウィスコンシン大学でもこれに近い結果であった。今回の研究ではさらに、YKL-40を除去すると、あるタイプの組織炎症が軽減することも示されたという。
YKL-40はキチナーゼ様蛋白として知られ、キチンに結合する作用をもつ。キチンは菌類や甲殻類、ゴキブリやイエダニなどの昆虫類のほか、蠕虫(ぜんちゅう)と呼ばれる寄生虫の卵にもみられる物質。人体が作るキチナーゼやキチナーゼ様蛋白は、もともとこの寄生虫から生体を防御するために進化したのではと考えられるという。それが現在、イエダニや花粉などの無害なものに対しても防御反応がはたらくようになってしまったのではないかと専門家は述べている。
20世紀に喘息の有病率が増大した理由は未だ解明されていないが、この知見がその答えを知る手がかりになるかもしれないという。本当にキチンが気道炎症の引き金になっているとすれば、今回の知見により新たな治療の道が開ける可能性があるとのこと。(HealthDay News 11月14日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=610043
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