長年にわたり母乳と乳幼児の虫歯(う食)との関連性が懸念されてきたが、母乳は乳幼児の虫歯リスクを増大させないことが、米医学誌「Pediatrics」10月号掲載の新しい研究で明らかにされた。虫歯の孔(窩洞かどう、キャビティ)の誘因として考えられるのは、妊娠中の喫煙、貧困などであるという。
米ロチェスター大学(ニューヨーク州)などの研究者らは、1999-2002年の全米保健栄養調査(NHANES)に参加した家族の乳幼児1,576人を対象に、母乳と乳幼児の口腔衛生との関連性を検討。人口学的背景、口腔衛生のデータ、乳児の栄養に関する情報を分析した。その結果、乳幼児の27.5%には虫歯の孔のために詰め物をした歯や抜いた歯が1本以上あり、その原因となる重症の早期小児虫歯は10人中1人にみられた。
メキシコ系アメリカ人の乳幼児の40%超、米貧困基準を下回る家庭の乳幼児の41.3%に1個以上の虫歯の孔があり、貧困家庭の乳幼児の18.6%に重症の早期小児虫歯があった。母親が19歳以下の場合も早期小児虫歯のリスクが高かった。貧困状態や出産時の母体の年齢、出生前での母親の喫煙などの因子を除くと、早期虫歯のリスクは母乳により40%低減した。また、母乳を用いたメキシコ系アメリカ人や貧困家庭の小児では、母乳を用いてない場合も含め他の小児より虫歯が多かった。
研究著者であるニューヨーク州健康局のHiroko Iida氏は「小児歯科医や公衆衛生医は、低収入の家庭の親や喫煙癖のある母親、メキシコ系アメリカ人の家庭の親に口腔衛生に関する指導を行うべきだ」とし、2歳児の10人に1人、5歳児の約半数(44%)に虫歯の孔が認められることから、乳幼児に対する予防歯科治療の重要性を訴えている。
母乳が牛乳より虫歯を引き起こしやすいことを示した2005年のラットを用いた研究は、母乳と虫歯の孔に関する懸念をもたらすものの1つだが、この研究の共著者で母乳賛成派のRuth Lawrence博士は、今回の知見を、授乳中の母親を安心させるために用いるつもりだという。
米国小児歯科学会(AAPD)スポークスマンのPaul Casamassimo氏は「この文献では母乳と虫歯の孔の関連性は不明だが、その関連性を示す報告もいくつかある」として慎重な姿勢を見せている。AAPDでは両親に対して、食物や飲料による虫歯の孔のリスクを最小限に抑えるよう指導している。(HealthDay News 10月1日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=608670
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