財政の苦しい農家にとって、身近に無料の肥料があるという。人尿が窒素やその他ミネラルの優れた供給源となることがフィンランドの研究で示された。この知見は、農業食品化学誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」10月31日号に掲載される。
クオピオKuopio大学環境科学部のHelvi Heinonen-Tanski氏らの研究グループは、汚水処理システムのない地域で人尿を農業に役立てると同時に、水資源の汚染を減らし、水を守る方法を探るべく今回の研究を実施した。尿を肥料として利用するのは一般的ではないが、フィンランドの一部地域では増えており、オオムギおよびキュウリ栽培にも用いられている。尿には窒素が含まれることから、他の植物にも優れた肥料となると思われるという。
研究では、試験作物として多量の窒素を必要とするキャベツを選択。人尿を肥料として育てたキャベツと、肥料なし、市販の肥料を用いたものを比較した。収穫時、尿を肥料としたキャベツは市販肥料のものに比べやや大きく、最大サイズまでの成長が早かったほか、虫害が少なかった。3種類のキャベツで作ったザワークラウトを20人が試食した結果、味に違いはあったが、いずれも「おいしい」との評価であった。
今回の結果から、ヒト1人が1年間に排泄する尿で、キャベツ160株の栽培に十分との結論に達した。これは、同条件の畑で市販の肥料を使用して育てることのできるキャベツよりも64kg多い。「心理的な抵抗感はともかく、尿は正しく扱えば汚染物質ではなく資源となる」とHeinonen-Tanski氏は述べており、尿はエコトイレから集めて貯蔵し、直接作物にかけずに周囲の土にまくよう勧めている。
米ニューヨーク大学医療センターのPhilip Tierno博士は、尿は窒素を含む優れた天然物質で、肥料として簡単に用いることができると述べている。尿に含まれる病原菌は土の中の微生物に淘汰(とうた)されるため、汚染リスクはほとんどないという。米ワシントン州立大学のBarry Swanson氏も、尿が窒素、カリウム、リンの優れた栄養源であると認め、米国では衛生観念の点から受け入れられないかもしれないが、国によっては極めて実用的な利用方法であると述べている。なお、キャベツをザワークラウトとして保存すれば、大量の塩によって病原菌の増殖が抑えられるとのこと。(HealthDay News 10月8日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=608927
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