症状の安定した心疾患患者が、たとえ短時間でもディーゼル排気に曝露されると、心筋への血流量が減少し、心臓発作や不整脈などの心血管障害が増加することが、新しい研究によって明らかにされた。
大気汚染への短期間曝露が心血管疾患や死亡と関連していることはこれまでの研究でも示されており、最近の研究では、ディーゼル排気中の微粒子とLDL(悪玉)コレステロール中の脂肪酸の相互作用が血管内の炎症の原因となる遺伝子を活性化させ、アテローム性動脈硬化の進行が早まることが明らかにされている。
今回の研究は、心臓発作の既往のある症状の安定した男性心疾患患者20人を対象に、大気汚染が血管や心機能に及ぼす直接的な影響を評価したもの。英エジンバラ大学心臓血管科学センターのNicholas Mills博士らは、対象患者を休息時およびエアロバイク使用時に1時間、市街地の往来の汚染レベルに相当する希釈ディーゼル排気またはろ過空気に曝露させた。
その結果、心拍数はろ過空気曝露群、ディーゼル排気曝露群とも同様に増加したが、心筋への血流量の減少はディーゼル排気曝露群の方が大きかった。また、ディーゼル排気によって、凝血塊(クロット)を溶かす血管内皮の組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)の放出も減少した。Mills氏は、今後、ディーゼル排気によって心筋血流量に変化が生じるメカニズムや、それに関与する排気中の成分を明らかにすることが重要と述べている。
冠動脈性心疾患(CHD)のリスクは運動によって低下するという報告は多数あり、心疾患患者には定期的な運動が勧められる。米レノックスヒルLenox Hill病院(ニューヨーク)のLen Horovitz博士は「現実には、通常の大気汚染に加えてディーゼル排気にも曝露されるので、その影響はさらに大きくなる」と指摘し、交通量の多いところでのジョギングは避け、早朝や深夜など大気汚染や交通量が少ないときに運動するよう注意を促している。
また、今回の研究報告とともに掲載された論説でも、ジョギングを止めるのではなく、交通量の多い往来から離れた場所で行うことを勧めている。この知見は、米医学誌「New England Journal of Medicine」9月13日号に掲載されている。(HealthDay News 9月12日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=608152
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