書痙(しょけい)になりやすい人の脳には、運動や感覚をつかさどる部位の組織が少ないという構造異常があることが、フランスの研究で示された。長い間、書痙には解剖学的な異常は認められないとされてきたが、解像度の高い最新の画像技術により、極めて細微な異常の存在が明らかになったという。
英ジストニア協会によると、書痙とは指や手、腕などの筋肉に不随意な収縮が生じる運動障害で、長年同じ筋肉を繰り返し使う人によくみられるという。字を書くことが苦痛になり、書いた字は極めて読みにくいものとなる。症例の4分の1で両手に生じ、発症率は10万人に3~7人と少ないものの、仕事、自己評価、社会生活に深刻な影響を及ぼすという。発症の機序は解明されていないが、治療法としてボツリヌス毒素(ボトックス)注射が有効であることがわかっている。
医学誌「Neurology」7月24日号に掲載された今回の研究では、書痙を発症して平均7年経過した患者30人の脳画像を健常者の脳画像と比較した。その結果、書痙患者は小脳、視床、感覚運動皮質の3部位で灰白質が少ないことがわかったという。しかし、この異常が書痙の原因なのか結果なのかは明らかになっていない。
研究を実施したピティエ・サルペトリエール病院Groupe Hospitalier Pitie-Salpetriere(パリ)のStephane Lehericy博士は、この知見がすぐには治療につながらないとしても、疾患の根底にある脳異常を確認できることは医師や研究者にとって心強いことだと述べている。今回の知見では小脳に疾患の一因があることが示唆されている。今後、動物モデルやヒトを対象にさらに詳しい研究が実施され、書痙における脳の構造の役割が調べられるという。小脳は運動の制御や細かい動きに関わっていることから、リハビリテーションに応用できる可能性もあるとLehericy氏は述べている。(HealthDay News 7月24日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606514
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