衝撃を吸収するヒッププロテクターパッドを使用しても、高齢者での股関節骨折を予防することはできないことが、米ハーバード大学(ボストン)医学部准教授のDouglas Kiel博士らによる新しい研究によって示唆された。ヒッププロテクターには衝撃を吸収するタイプと分散するタイプがあるが、今回の研究では吸収タイプが使用された。
長期療養施設(ナーシングホーム)入居者とそうでない対照群とを比較する従来の研究とは異なり、今回の研究では、被験者の股関節の片側にのみプロテクターを使用し、自身を対照とした。37のナーシングホームの入居者1,000人以上(平均年齢85歳、女性79%)が約8カ月間、片側にヒッププロテクターの付いた下着を着用した。全体のアドヒアランス(adherence:能動的な遵守)率は約74%であった。
股関節骨折の発症率はプロテクター使用股関節群が3.1%、非使用股関節群が2.5%で、統計学的有意差は認められなかった。アドヒアランス率が80%超の患者でも有意差は認められず、股関節骨折の発症率はプロテクター使用群が5.3%、非使用群が3.5%であった。この知見は、米国医師会誌「JAMA」6月25日号に掲載された。
片側のみの使用が立ち方や歩き方に影響を及ぼし、転倒リスクが高まった可能性を指摘する専門家もいるが、Kiel博士は、プロテクターの重量が2オンス(約57g)程度なのでさほど影響はないとしている。同博士は、プロテクターを使用する場合は、臨床試験で良好な成績が出ているものはどれか医師に訊くよう勧めており、同時に、運動で脚を鍛える、目まいが起きる薬剤を使用しないなど、転倒リスクを減らすことが重要だという。
米ニューヨーク大学メディカルセンターRuskリハビリテーション研究所(ニューヨーク)のGerard Varlotta博士は「パッドの使用だけで骨折を予防することはできない」という。同博士によれば、骨折の多くは転倒の衝撃ではなく転倒時の不自然な回転によって生じるもので、衝撃を受ける前に骨折が生じていることも多い。同博士は、小サイズのラグ(敷物)を敷かない、通路に障害物を置かない、照明を十分な明るさにするなど、転倒リスクを減らす工夫を勧めている。(HealthDay News 7月24日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606686
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