肥満は社会的な意味で伝染性であり、社会的なつながりを介して「伝染(まん延)する」ことが新しい研究によって示唆され、米医学誌「New England Journal of Medicine」7月26日号で報告された。
米ハーバード大学(ボストン)教授のNicholas A. Christakis博士らによる今回の研究は、フラミンガム心臓研究Framingham Heart Studyの一貫として行われたもの。ニューイングランドに住む社会的につながりのある1万2,000人を対象に、30年以上にわたるBMI(ボディマス・インデックス:肥満指数として用いられる)などの測定値を入手するとともに、交友関係を調べた。
研究の結果、一人が肥満であれば、その友人の友人の友人や、友人の配偶者の姉妹など、関係が近い順に3人目まで肥満になる可能性があることが判明した。肥満になった友人がいる場合、肥満になる可能性は57%増加し、2人が互いに友人だと認識している場合には171%にまで増加した。兄弟姉妹が肥満になった場合は、肥満になる可能性が40%、配偶者の場合は37%増加した。
また、地理的な位置よりも社会的ネットワークのほうが重要であり、同性から受ける影響のほうが異性よりも大きいことがわかった。Christakis博士らは、行動や規範意識がそのネットワーク内で伝染し、その中で過体重や肥満が正常だということになれば肥満になりやすくなると説明している。
米マイアミ大学ミラー医学部(マイアミ)心理行動科学部部長のJulio Licinio博士は、今回の知見について「肥満治療が難しいのは社会的ネットワークの中の一人しか治療しないためだというのは理にかなっている」という。また、米ワシントン大学医学部(セントルイス)のSamuel Klein博士は「肥満の治療を成功させるには、個人だけでなくその社会的ネットワークも対象にしなくてはならないことが示唆された」と指摘している。
米テキサスA&M大学健康科学センター(コーパス・クリスティ)のJuan Castro博士は、この知見が職場での栄養教育の必要性を支持するものであり、さらに、家庭で食品を購入し、食事を作る人を治療の標的とすることも有用だと述べている。(HealthDay News 7月25日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606718
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