早期の膵癌(がん)を安全かつ正確に検知できる可能性が小規模予備研究で示され、医学誌「Clinical Cancer Research」8月1日号で報告された。内視鏡生検により採取した十二指腸の細胞を、光散乱を用いて検査すると、膵癌がある場合とない場合では、違った散乱効果を示すという。
研究を率いた米ノースウェスタン大学(イリノイ州エバンストン)のVadim Backman氏は、この方法によって、膵癌の家族歴をもつ患者がリスクなしに毎年検査を受けることができるようになる可能性もあると述べている。膵癌アクションネットワーク(PanCAN)のJulie Fleshman氏も、さらに詳しい研究が必要であるとしつつも、この検査が患者にとって重要なツールとなる可能性に期待を示している。
オペラ界の大スター、ルチアーノ・パヴァロッティ氏が現在闘病していることでも知られる膵癌は、症状が現れたときにはすでに他の臓器に転移していることが多く、5年生存率は5%未満、3人に1人は診断から1年以内に死亡する恐ろしい疾患である。スキャン技術では早期の膵癌を発見できない上、生検や穿刺(せんし)などの侵襲性の高い検査では重篤な合併症を来すリスクが20%以上もあり、扱いが極めて難しい臓器であるとされる。
研究チームは、光拡散による技術を用いて、直腸生検で採取した検体から隣接する結腸の早期癌を検知できることをすでに突き止めていた。このことから、膵臓のすぐ近くに位置し、生検採取の容易な十二指腸に着目。51人の被験者から、内視鏡生検により十二指腸の組織を採取した。被験者の一部は、さまざまな病期の膵癌をすでにもつ患者である。採取した細胞に、2種類の光拡散検査を実施した結果、早期および後期の膵癌を100%検知することができた。数例の偽陽性があったが、これが単なる間違いなのか、将来その被験者が膵癌を発症するリスクが高いことを示すものなのかはわかっていない。
Backman氏らは、この検査はあくまでも膵癌の家族歴をもつ人を対象とするものだと強調している。女性のマンモグラム(乳房X線検査)や男性のPSA(前立腺特異抗原)検査にように広く一般に実施できる膵癌検査の実現はまだ遠いとFleshman氏はいう。Backman氏のチームは、この光散乱検査についてすでに200人以上を対象とする大規模試験に取り組んでいる。膵癌とその他の良性疾患を鑑別する上での有用性を検討するほか、家族歴のある人とない人の比較も行う予定だという。Fleshman氏は、この検査の可能性に大きな期待を寄せる一方で、膵癌研究にはさらに多額の費用が必要である点を指摘している。(HealthDay News 8月1日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606899
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