現在、米国では小児への適応が承認されている睡眠薬はないにもかかわらず、睡眠障害のため受診した小児の80%以上に何らかの薬剤が処方されていることが、新しい研究によって明らかにされた。この知見は、青少年に睡眠障害がまん延しているという2004年の米国立睡眠財団(NSF)の調査結果を補足するもの。
米オハイオ州立大学医学部(コロンバス)教授のMilap C. Nahata氏らは、1993~2004年の全米外来医療調査(NAMCS)データのうち、睡眠障害のため受診した17歳以下の外来患者に関する情報を分析した。約1,860万件の受診のうち、6~12歳の小児が36%と最も多く、次いで13~17歳の青年期の男女児が3分の1を占めていた。患者の3分の1は小児科医、4分の1弱は精神科医、13%は家族医を受診していた。
患児の7%が食事や栄養のカウンセリング、22%が行動療法、17%がメンタルヘルスとストレスマネージメントを勧められた。一方、薬剤を処方された患児は81%に上り、約3分の1が抗ヒスタミン薬、約4分の1がα(アルファ)-2作動薬、15%がベンゾジアゼピン、6%が抗うつ薬を処方された。薬剤と行動療法の併用を勧められた患児は5分の1に満たなかった。また、精神科医を受診し薬剤を処方された患児は、一般医を受診した場合の3倍以上であった。
小児に一般的に処方されている睡眠薬を含めたこれら薬剤は、十分に研究が尽くされ、米国食品医薬品局(FDA)に承認されているものだが、小児での有効性や安全性は検討されていない。Nahata氏は、小児に対する適応外使用が有効な場合もあることは認めつつも、処方は慎重に行う必要があると述べている。この研究結果は、米医学誌「Sleep」8月1日号に掲載されている。
米マサチューセッツ大学医学部(ウースター)のGregg Jacobs博士は、薬剤を処方した結果、睡眠障害の根本的な原因から目を背けてしまうことが多いと指摘し、「薬を処方したからといって問題の原因が解決するわけではない。ストレスやカフェイン、家庭環境の問題など、原因を明らかにするほうが大切だ」と述べている。
Jacobs氏は、成人でみられる薬剤への耐性や依存性、日中の鎮静や健忘といった副作用が小児ではより重篤になる可能性があることも指摘している。睡眠薬の夜間常用は成人では死亡率の上昇につながるという研究報告もある。同氏は、行動療法をまず行い、睡眠薬は最後の手段にすることを勧めている。(HealthDay News 8月1日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606884
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