乳児期に定期的に農場で過ごした小児は、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)を発症するリスクが通常の約半分であることが、ドイツ、ミュンヘン大学の研究により示された。この知見は、細菌への曝露が少ない環境で過ごすとアレルギーの発症リスクが高くなるという「衛生仮説」にも一致するものだと、研究を率いたKatja Radon氏は述べている。
今回の研究は、潰瘍性大腸炎患児300人強、クローン病患児444人、どちらの疾患ももたない健常児約1500人の、計2,200人強の小児(6~18歳)の親に問診を行ったもの。その結果、IBDの患児は発症前に農場で過ごした経験をもつ確率が低いことがわかったほか、1歳までに一定期間を農場で過ごしていた小児は、そうでない小児に比べ後のクローン病発症率が50%、潰瘍性大腸炎発症率が60%低いことが明らかになった。
特に幼児期のウシとの接触が有効であると思われ、クローン病では60%、大腸炎では70%の減少がみられたという。アレルギー専門医や免疫学者の間ではペットのイヌやネコへの曝露に着目した研究が実施されているが、IBDリスクの軽減についてはイヌやネコよりウシの方が高い効果をもつ可能性が示された。ペットよりも農場の家畜の方が細菌類や真菌類への曝露が大きいため、リスク軽減の効果も高いと思われるとRadon氏は述べている。
しかし、自己免疫疾患から守るために、子どもを農場に連れて行き地面の上を転げ回らせる必要があるとは、必ずしもいえないという。Radon氏も、今回の研究では因果関係までは示されていない点を認めており、衛生面の向上が先進国の健康に貢献してきたことも忘れてはならないと指摘している。しかし、何がこの予防効果をもたらしているのかを特定できれば、IBDの優れた治療法につながるだろうと専門家は述べている。(HealthDay News 8月6日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=607034
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