患者自身の腹部や大腿部から採取した脂肪を利用して乳房を再建する方法が、実現に近づいているという。「Celution」と呼ばれるこの新しい技術は、米Cytori Therapeutics社(サンディエゴ)が開発したもの。米国ではまだ利用できないが、ヨーロッパでは乳房部分切除術を受けた女性を対象とする研究が今年(2007年)中に開始され、2009年には利用できるようになる見込みだという。(編集部注:日本では2006年5月から九州の病院で、世界に先駆けCelutionを用いた乳房再建の臨床試験が行われている。)
このニュースは英産業誌「Chemistry & Industry」7月9日号に「ランチタイムに豊胸」という見出しで掲載されたが、これは誤解を招く表現だとCytori社のEric Daniels博士およびTom Baker博士は述べている。処置には少なくとも2~3時間を要し、将来的には豊胸に利用される可能性もあるものの、現時点では乳房部分切除や腫瘍摘除を受けた患者を対象とするものだという。
この手技ではまず、脂肪吸引のような処置により患者から脂肪組織を採取し、これをCelutionシステムにより1時間以上処理した後、再生細胞(regenerative cell)を患者の乳房に注入する。脂肪組織にはさまざまな細胞が含まれているが、再建に重要な役割を果たすのは幹細胞および再生細胞だとBaker氏は説明している。
米ビバリー・ヒルズ(カリフォルニア州)で形成外科医を務めるBrian Kinney博士によると、形成外科では約15年前から脂肪注入が一般的に用いられており、目の周辺や鼻唇溝のひだ、脂肪吸引術後の凹凸を整えるのに利用されている。約6~8年前から乳房への脂肪注入が検討されるようになったが、実施する医師は少ないという。脂肪が再吸収されやすいという問題に加え、再吸収された脂肪がマンモグラム上で乳癌(がん)のように見え、識別が難しい点が懸念されている。また、しこりができる可能性も指摘されている。
しかし、再吸収の問題が解決されれば、将来的にこの手技が豊胸や乳房再建に利用される可能性も大いにあるとKinney氏は述べている。ただし「ランチタイムに豊胸」という記事については、数年前に注目を集めた「週末整形」と同様、信用すべきではないとコメントしている。(HealthDay News 7月9日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606224
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