米国では利便性を求めた帝王切開による出産が急増しており、不要な健康リスクの増加が懸念されている。2004年に米国で帝王切開により生まれた新生児は全体の29%を占める。米国での帝王切開の割合は1997年には新生児の約5人に1人だったが、現在は4人に1人以上となっており、38%も増加している。
多くの専門家は、この急増が帝王切開の適応となる骨盤位分娩や胎児仮死、母体に出血がみられる場合など医学的必然性によるものではなく、利便性の追求によるものだと考えている。つまり、帝王切開の選択により、母親は出産の予定を自分で立てることができ、産科医にとっても12時間かかる経膣分娩に比べて20分で終わる帝王切開であれば忙しい時間を節約できる。
この状況に対して、世界保健機関(WHO)母子保健局長のMarsden Wagner博士は「帝王切開は大きな開腹手術であり、ほかの開腹手術と同様に大きなリスクを伴う」と警告する。同博士によれば、一国の至適な帝王切開率は10~15%であることが国際的な研究によって明らかにされており、この比率が10%未満でも15%超でも母体の死亡率が上昇するという。
また、帝王切開は経膣分娩に比べて死亡リスクが高く、健康な女性の場合でも2倍になると指摘する。重度の合併症も帝王切開を選んだ女性では3倍となり、周産期の合併症も多い傾向があることが研究によって示されている。さらに、帝王切開で生まれた新生児では肺液の吸収が遅れるため、呼吸困難となる可能性が高い。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校フレズノ分校(UCSF-Fresno)のJohn Zweifler博士は、医学的必然性のない帝王切開は、有害なことをしないという医療の原則に逆らうものだと述べ、そのリスクとして感染や失血量の増加、腸機能の低下を挙げている。帝王切開の増加に対抗する手段として、医師たちはリスクに対する患者の認識を高める努力をし、帝王切開を経験した女性には、次の妊娠時に帝王切開後の経膣分娩(VBAC)の検討を勧めている。(HealthDay News 7月13日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=602211
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