心障害の有無を判定するCT冠動脈造影(CTCA)検査により、特に女性および若年者の癌リスクが増大するという報告が米医師会誌「JAMA」7月18日号に掲載された。研究を率いた米コロンビア大学(ニューヨーク)のAndrew J. Einstein博士は、医師が患者にとって適切な検査法を選ぶ上でこの知見が役立つはずだと述べている。
米Scott & White病院(テキサス州)のGregory Dehmer博士は、CTによって極めて有用で優れた画像が得られる一方で、患者が多量の放射線に曝露することはすでに知られていたが、この研究はそれを確証するものだと述べている。医師にとって重要なのは、CTによる血管造影が適するケースと適さないケースを十分に認識することだと同氏は指摘している。
冠動脈疾患(CAD)は、心臓に血液を供給する動脈が硬化し狭窄する疾患で、米国では男女ともに死亡原因の第1位となっている。最も標準的な診断法は冠動脈造影によるものだが、この検査では血管内にカテーテルを挿入する必要があり、重篤な合併症を引き起こすことがあるため、侵襲性の低い検査法が求められていた。その一つが2004年に認可されたCTCAである。CTCAは感度および特異度ともに高く、緊急治療室(ER)に搬送される胸痛患者について迅速に疾患の有無を調べることができる。
しかし、この検査による癌リスクはこれまで定量化されていなかった。今回の研究では、コンピューター・シミュレーションを用いて、64スライスCTCAの放射線曝露による生涯癌リスクを評価した。その結果、生涯癌リスクは20歳女性で143分の1、80歳男性で3,261分の1と幅があった。しかしECTCM (electrocardiographically controlled tube current modulation; 心臓周期の一区間で照射量を低減させる治療法)という方法を用いると、癌リスクがそれぞれ219分の1と5,017分の1に下がる。若年者や女性にとってはCTCAが必ずしも最適な選択肢とはいえない一方、高齢の患者にとっては利益に対してリスクはそれほど高くないことが明らかになった。
結論としては、胸痛があり、実際に冠動脈疾患が疑われるような場合には、医師の判断によってCTCAを利用してもよいが、単なる健診の目的で安易にCTCAを用いることは勧められないとEinstein氏は述べている。(HealthDay News 7月17日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606459
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