分子標的薬剤sorafenibソラフェニブ(商品名:Nexavar、バイエル社、※日本国内では腎細胞癌の適用承認申請中)に、進行肝(細胞)癌への高い効果がみられるとの臨床試験SHARP trialの結果が、シカゴで開催された米国癌治療学会(ASCO)年次集会で発表された。進行肝癌患者に同薬を投与したところ、投与しない患者に比べ生存期間が44%延長したという。
研究を行った米マウントサイナイ医科大学(ニューヨーク)のJoseph Llovet博士によると、肝癌患者の生存期間を延ばす全身的治療はこれが初めてだという。30年にわたる研究と100を超える無作為化対照試験を経て、肝癌患者の新たな標準治療となるべきものがようやく登場したことになる。米国癌協会(ACS)のLen Lichtenfeld博士も、この治療が医療の標準を変えるだろうと述べている。
肝癌は世界の癌による死亡原因の第3位で、診断から1年以内に死亡する症例も多い。肝癌の40%(アジアおよびサハラ以南のアフリカでは80%)は、進行した段階で診断される。外科手術や放射線療法、化学療法が行われるが、薬剤による全身的治療(血流中に薬剤を入れる治療)はこれまで存在せず、標準的治療法が確立されていなかった。sorafenibは錠剤型の薬剤で、米国ではすでに進行腎癌治療薬として承認されている(※6月中に肝癌への適用が承認される見込み)。同学会では、同薬のほかにもいくつかの癌への試験結果が発表された。
今回の研究では、進行肝癌患者602人を、sorafenib 400mgの1日2回投与群とプラセボ(偽薬)群に無作為に割り付け、6カ月間投与。sorafenib群の生存期間(中央値)が10.7カ月であったのに対して、プラセボ群は7.9カ月、癌が進行するまでの期間は、sorafenib群では5.5カ月、プラセボ群では2.8カ月であった。極めて良好な結果が得られ、試験は早期に終了された。副作用は両群で同程度であったという。
同学会では、肝転移のある大腸(結腸)直腸癌患者で、手術前後に併用化学療法(FOLFOX4)を実施すると肝腫瘍の再発リスクが30%低下することも示された。研究を行ったAmbroise Pare病院(パリ)のBernard Nordlinger博士は、この方法が肝転移のある大腸直腸癌患者での新しい標準治療となると述べている。現在、年間100万人が大腸直腸癌と診断され、半数に肝転移がみられる。手術により肝腫瘍を除去しても、5年間生存率は30~35%にとどまっている。(HealthDay News 6月4日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=605233
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