多発性硬化症(MS)の診断数は、男性に比べ女性に多いことが従来から指摘されているが、過去60年間でその差が著しく広がっていることが、先ごろボストンで開催された米国神経学会(AAN)で明らかにされた。研究者によると、以前は1対2だった男女比が、現在では1対4になっており、その要因として、経口避妊薬の使用、早期月経、肥満率の上昇、女性喫煙者数の上昇、初産の高年齢化などが疑われている。
MSは、中枢神経に影響を与える自己免疫疾患で、米国多発性硬化症協会(NMSS)によると、症状は個人により大きく異なるが、疲労、めまい、疼痛、視覚障害、歩行困難、膀胱や腸の機能障害などが挙げられる。同協会によると、米国の患者数は40万人で、全世界では250万人。初診断年齢は通常20~50歳とされる。
研究者らは、MS患者約3万1,000人の情報を含む北米多発性硬化症調査委員会(NARCOMS)の大規模データベースからデータを収集。調査人口の4分の3は女性、93%は白人だった。
調査の結果、男性に対する女性の比率が10年ごとに約50%ずつ増加しており、その変動は、若年で診断された人口で顕著であることが明らかになった。研究著者で米アラバマ大学バーミンガム校(UAB)公衆衛生学部生物統計学教授のGary Cutter氏は「研究結果は、疾患の病因論にヒントを与えてくれた。研究者は、男性よりも女性に影響する事柄を調査できる」と述べている。
NMSSのNicholas LaRocca氏は「興味深い現象だが、その理由は誰もわからない。疾患の診断数が増加したのか、罹患数が増加したのかという現実的な疑問が生じるが、おそらく両方が進行している可能性がある」と述べる。
同氏は「以前は、治療法がなかったために医師が診断を下さなかった可能性もあり、また、生物学的な理由で罹患者数が増えている可能性もあるが、そのような因子は誰も知らない」とし、このような観察的研究は、興味を引く一方で、答えよりも疑問を多く提供すると述べている。(HealthDay News 4月27日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=604043
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