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新宿区医師会 / 国立健康・栄養研究所の渡邊理事長が統合医療検討委員会でメタボリックシンドロームについて講演

2006/11/21

「糖尿病を食事と運動でコントロールする」と題する講演を開催 (社)新宿医師会内に設置された「統合医療検討委員会」(担当理事、丹羽正幸)は先月23日、新宿医師会館に独立行政法人国立健康・栄養研究所の渡邊昌理事長を招き、「糖尿病を食事と運動でコントロールする」と題する講演を開催。医師会の会員となっている医師や医療機関の管理者など約90名が集まり、自らも糖尿病を患いながら食生活の改善と運動療法で克服してきた渡邊医師の話に耳を傾けた。

 渡邊理事長は国立健康・栄養研究所で「脂質・糖代謝プロジェクト」「メタボリックシンドロームプロジェクト」「肥満克服プログラム」などにかかわりながら、自身が罹患した糖尿病を10年以上薬に頼らず運動と食習慣の改善で糖尿病を克服してきた経緯を話した。

 同氏は「Glucowatch」(米国製の簡易血糖測定値:腕時計のような形状のもの)で毎日血糖値を測定し、少しでも数値が上がった場合は筋力トレーニングやジョギングをするなど運動量を増やしているという。「薬なし 食事と運動で糖尿病を治す」(講談社刊)などの著書も多数あり、同研究所で手掛けているプロジェクトでも食習慣の改善と運動療法で数カ月にわたるモニタリングを実施、確実に成果が上がっているという。

 「内臓脂肪は“普通預金”、皮下脂肪は“定期預金”とも言われています。内臓脂肪のたくさんついた画像をプロジェクト参加者に見せたあと、これが運動などによって確実に減っていく様子がわかると、被験者は最も効果的にモチベーションを高めることができます」と、メタボリックシンドロームの予防・改善にも運動と食事管理が重要であることを強調。

 厚労省が発表した平成16年国民健康・栄養調査によると、40~74歳までの男性で2人に1人、女性で5人に1人はメタボリックシンドロームが強く疑われるか、あるいはその予備軍であるという結果が出た。にもかかわらず、健康診断を受けていない人の9割が糖尿病などの治療を受けていないのが現状。また治療を受けている人でもその7.5%は治療を途中で止めてしまう。

 「インスリン注射や薬物療法によって糖尿病の治療を受けることは経済的にも大変なことです。私は多くの糖尿病患者と接してきましたが、治療を続けられないケースもあれば医師のアドバイスに従わない人も多いのが現状です。血糖値が高いからといって諦める必要はないし、食後に急上昇する血糖値を運動で下げるなどのコントロールを行えば、少なくとも糖尿病による合併症(動脈硬化、神経障害、白内障など)は避けられると思う」と同氏は話した。と同時に患者のことはかかりつけ医がいちばんよく知っており、患者を治せるのはあくまでも医者であるとし、患者のためにはサプリメントも含めた食事管理や栄養指導が重要であることを改めて説明した。

 同研究所では「オーダーメイド・ニュートリション」が不可欠な時代になってきたという考えのもと、メタボリックシンドロームや肥満、すでに病気となり入院している患者などがどのように“食” と向き合うべきかを模索しているという。安全性の確立を第一にしながらも、ハーブ、サプリメント、伝統医療などによる食事療法と栄養管理も視野に入れるべきだと同氏は言う。

 その試みのひとつとして、12月1日に同研究所にて「摂食・嚥下障害を考える研究交流会」を開催し、高齢者の介護食や病院食についての意見交換を行う。また食育基本法とのかかわりからも子供の肥満が大きな問題として捉え、子供の3~4割が脂質の過剰摂取をしている状況を変えていく指導をしたいともいう。今後未病の人に対するガイドラインのみならず、高齢者や病人、子供たちの食に関する臨床データを集積しデータベース化していきたいと話を締めくくった。

 新宿医師会は2005年11月、民間療法や自由診療など多様化する医療需要の把握と健康ビジネス産業の動向を知るため、医師会内に「統合医療委員会」(委員会担当理事、丹羽正幸)を設置。2006年4月21日に開催された第一回講演会を皮切りに、関連する各分野の専門家を招いてきた。現在統合医療と補完・代替医療の団体で医者が主に参加しているものは日本で20前後、ほかに産業界などが参加しているものが20以上ある。

 医師会の目的は混合診療の導入ではなく、医師や医療関係者に統合医療や産業界の動きを知ってもらい、統合医療の評価や医療制度の今後のあり方について意見交換をしながら、患者にとってよりよい医療とは何かを考えていくため。新宿区には3大学(東京女子医大など)・4基幹病院(国立国際医療センターなど)を有する行政区であり、約4000名の医師が勤務している。新宿区医師会員は約780名と国内でも最も多く、ネットワークの構築や情報発信、啓蒙といった活動を活発に行っている。

参考:メタボリックとは英語で“(新陳)代謝”を意味する言葉で、メタボリックシンドロームとは広義に代謝症候群を指し、「内装脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)」に「高血糖」「高血圧」「高脂血症」のうち2つ以上を合併した状態のこと。以前よりシンドロームX、死の四十奏、インスリン抵抗性症候群などとも呼ばれ、動脈硬化由来の狭心症、心筋梗塞、脳卒中などに至る前の病態。食の欧米化、肥満、喫煙など複数のリスクファクタを見直すことが最大の予防策である。特に糖尿病などは食習慣と日常動作、運動の見直しによる生活習慣の改善が重要な意味を持つ。「肥満」「糖尿」「高血圧」という複数の危険因子があると発症リスクが高まり、高血圧の人は血圧が高くない人に比べて糖尿病を合併する確率が約2倍も高いといわれ、糖尿病患者そうでない人に比べて高血圧を合併する確率がやはり約2倍になるといわれている。

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