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東北地方太平洋沖地震に伴い発生した原子力発電所被害に関する放射能分野の基礎知識


[2011/03/14]

平成23年3月14日 13時50分更新(独立行政法人 放射線医学総合研究所)

1.原子力発電所の事故により、周辺地域の住民が気をつけることは何ですか。

(1)まずは、ラジオやテレビ、あるいは市町村からの情報(広報車や防災行政無線、有線放送など)から情報を入手します。正しい情報に基づいていないものもありますので、うわさには惑わされないようにします。地方自治体から、屋内待避あるいは避難の指示があった場合は、速やかに対応して下さい。

(2)屋内待避の場合、窓やドアを全て閉め、換気扇を止めるなどして、外からの空気が入らないようにします。次の指示が出ることもありますので、情報には十分気をつけてください。

(3)避難する場合は十分時間の余裕があるので落ち着いて行動します。

(4)避難区域内の作物については、安全が確認されるまでは、摂取を控えてください。

2.住居から避難するときには、何に気を付けたらよいですか。

(1)放射性物質を体内に吸い込まないために、屋外ではタオルや木綿のハンカチを折って、水でぬらして固くしぼり、口や鼻を保護してくだい。ほとんどの放射性物質の吸い込みを防護することができます。

(2)帽子をかぶるなど、できるだけ肌を出さないようにしてください。

3.大気中の放射性物質は、人にどのような影響がありますか。被ばくした量との関係についても、教えてください。

大気中の放射性物質は、地表面や建物などに沈着して、環境中にとどまることがあります。この場合、放射性物質の沈着した飲料水や農作物を摂取することにより、放射性物質を体内に取り込む場合があります。

また、大気中の放射性物質は、直接吸入することもありますので、外出するときには、直接吸入しないように口や鼻を保護してください。

放射線に被ばくすると健康に影響を及ぼすことがありますが、その影響の有無と種類は被ばくした量で違います(図)。被ばくした放射線量が、例えば100mSv(ミリシーベルト)以下では、ただちに健康に影響を及ぼすことはありません。また、被ばくした放射線量が高いほど数年後から数十年後にがんになる危険性が高まると考えられますが、その危険性は、例えば100mSv(ミリシーベルト)の放射線量で0.5%程度です。これは喫煙や食事などの生活習慣を原因とするがんの危険性よりも数十分の一程度低い値で、過度に心配する必要はありません。

4.安定ヨウ素剤の服用について

放射性ヨウ素を体の中に取り込んでしまった場合(内部被ばく)には、避難所等で配布される安定ヨウ素剤を指示通りに服用することが重要です。

これは体の中にはいると甲状腺に集積するので放射性ヨウ素が入る前や直後に安定ヨウ素剤を服用し、放射性ヨウ素の取り込みを阻害したり、希釈して甲状腺への影響を低減させようとするものです。

しかし、ヨウ素剤の服用によってはアレルギーなどの副作用をおこす場合もあります。また、安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素が体の中に入った場合のみに有効で、外部被ばくや他の放射性核種には効果がありません。

従って、服用の必要があるかないかは、環境中への放射性ヨウ素の放出量から受ける被ばく量を推定し、医学的観点から決定すべきものです。

5.報道で伝えられる数値の意味を教えて下さい。

・100,000cpm(双葉避難所で避難住民の靴から測定された値)

報道で伝えられている100,000cpmについて、一般的に放射線測定に使われているGMサーベイメータで測定したと想定した場合、表面汚染レベルは、400Bq/ cm2となります。

ただし、測定する機器が異なった場合には、有感面積・機器効率が違うため、計算結果は同じにはなりません。

核種をヨウ素‐131と想定し皮膚に付着した場合には、皮膚の吸収線量率の試算は次のとおりです。

皮膚表面汚染密度1Bq/cm2あたりの皮膚吸収線量率(nGy/h)は、ヨウ素‐131の皮膚の深さ70μmのとき、係数は1319(nGy/h)/(Bq/ cm2)となり、皮膚(深さ70μm)の吸収線量率は0.53(m Gy/h)となります。

皮膚の除染を行うことにより、吸収線量率はさらに小さくなります。

ヨウ素‐131の半減期は8日です。汚染は、入浴や皮膚の代謝交換によって除かれると考えられます。

皮膚障害は2〜3Gy以上で紅斑がでますので、0.53(m Gy/h)ではまったく問題がありません。

・1015マイクロシーベルト(3月12日午後 福島原子力発電所正門付近で測定された空間線量率の値)です。1時間この場所に居つづけると、1015マイクロシーベルト(1.015ミリシーベルト)の被ばくとなります。

原子力発電所に関して定められた一般の方の一年間の線量限度は1ミリシーベルト/年です。しかしこの限度量を超えたからといって、健康影響があらわれるというものではありません。一般に生活しているだけで、自然界から被ばくしている線量は、1年間で2.4ミリシーベルトです。世界の高線量地域では10ミリシーベルトという場所もあります。

6.福島県に住んでいます。福島県を通りました。

・影響はありませんか?

放射性物質が放出されたことが報告されていますが、すでに国や県が万が一に備えて、必要な住民の方には屋内退避や避難を実施しています。これは、放射性物質からの被ばくや放射性物質が体表面や体内に入らないようにするためです。どのようなルートで福島県を通過されたかによりますが、1015μSv/hが測定された3月12日に正門近くで1時間立ちつづけたとしても1ミリシーベルトですから、健康影響を心配する必要はありません。

・何をしたらよいでしょうか?

避難や退避勧告の対象となった地域の住民以外の方や、旅行などで短期的に福島県を訪れた方は、基本的には何もする必要はありません。

<参考> 放射線の単位

・シーベルト(Sv)

人体が放射線を受けた時、その影響の度合いを測る物差しとして使われる単位。

・ベクレル(Bq)

放射能を表す単位。1ベクレル(Bq)は、1秒間に1個の放射性核種が崩壊することである。

・グレイ(Gy)

放射線が当たった物質が吸収した放射線のエネルギーで表される放射線量。1Gyは物質1kg当たりに1ジュール(J)のエネルギーが吸収されることを意味する。

厚生労働省よりリンクされている元ページはこちら(独立行政法人 放射線医学総合研究所)

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