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こんにゃく入りゼリーを含む食品等による窒息事故リスクの低減に向けて


[2010/07/16]

食品SOS対応プロジェクト報告

平成22年7月16日

本プロジェクトでは、年初来、こんにゃく入りゼリーを含む窒息事故の多い食品等に関して、事故発生のリスク低減につながり得る具体的な方策を見出すため、関係機関、関係者の協力を得ながら、鋭意検討を進めてきた。

当面の取組について明確な方向性が得られたことから、これまでの検討結果について、以下のとおり取りまとめる。

1.検討経過

こんにゃく入りゼリーによる窒息死亡事故については、当該商品が新規開発されて以降現在までに22 件の事案が確認されている。その被害状況などから、特異な消費者事故であるとの指摘がなされてきた。しかし、我が国においては、食品等による窒息事故を行政上の課題として取り上げて、必要に応じて規制等を講ずるための制度は存在しておらず、このためこの事案は「すきま事案」1という性格を持つものとしても問題点の指摘がなされてきた。

消費者庁発足と同時に施行された消費者安全法においては、消費安全性を欠く商品によって重大事故等が発生した場合であって、当該重大事故等が「すきま事案」であるときには、内閣総理大臣(消費者庁)が当該商品について改善措置や譲渡禁止(6月を限度とする。)を命ずることができることとされた。

この権限を背景としつつ、平成21 年4 月に内閣府国民生活局(当時)が食品安全委員会に対して行った、こんにゃく入りゼリーを含む窒息事故の多い食品に関する健康影響評価を求める諮問に対する答申が本年6 月10 日になされたことを踏まえながら、本プロジェクトは検討を進めた。

食品安全委員会による答申は、窒息事故の多い食品について、食品側及び食品以外(摂食者等)の各種要因の分析を行ったが、食品による窒息事故は内容把握が断片的で全容が解明されていないものが多く、発生件数も少ないことから、各種要因との因果関係を統計学的に明らかにすることは難しかったとした。こんにゃく入りゼリーについては、噛み切りにくさ、表面平滑性、ミニカップ入りという製品設計等が当該食品に特有なリスク要因として指摘された。

更なる科学的知見を得るためには、@窒息事故と関連付けた嚥下する直前の食塊の物性に関する調査研究、A窒息事故と関連付けた様々な食品の物性の比較に関する調査研究、B年齢階層別・食品(群)別の窒息死亡症例数に関する調査研究、C窒息事故の実態を把握し、原因食品の物性、摂食方法、小児の行動等のデータを収集・解析し、予防法を検討・実行し、その効果を検証するようなシステムの確立に関する調査研究が必要との指摘がなされた。

1 すきま事案とは、被害が重大な事案であるにもかかわらず、被害の発生・拡大防止のための措置を実施し得る法律上の規定が現行制度上存在しない事案のことをいう。

本プロジェクトでは、こうした指摘を念頭に置きながら、以下のように、可能な限りのデータ収集・分析、関係機関・関係者からのヒアリング、研究機関による再現試験の実施等を進めた。

2.検討内容

(1)窒息事故の詳細分析(別紙1)

東京消防庁等と連携し、食品・製品に関する平成18〜20 年の救急搬送データ(食品:約4,000 件、製品:約2,000 件)について、具体的な原因、被害者の年齢、被害程度を情報収集し、窒息事故発生件数や、初診時に重症(生命に危険があるもの)以上の被害となる割合を分析した。限られた収集データによる分析であるものの、分析の結果、重症以上の被害につながりやすい傾向のある食品等があることが示唆された。

12 才以下の子どもが被害者である場合、重症以上の被害が発生した食品としては、こんにゃく入りゼリー、カップ入りゼリー、あめ等、製品としては、スーパーボール等が抽出された。

こんにゃく入りゼリーによる事故は、すべて重症以上であった。

一方、救急要請内容から、バイスタンダー2による応急措置結果を調べたところ、その効果は限定的で、応急措置の有無によらず重篤な事故が発生する傾向が強い食品もあると考えられた。

また、こんにゃく入りゼリーによる窒息事故の追跡調査においても、バイスタンダーが存在した状況でも重症以上の被害が発生していた事案が複数確認された。

(2)窒息事故の再現試験(別紙2)

信州大学において、窒息の発生過程を以下の5段階に分類し、窒息リスクが高いと考えられる食品等について、口腔模型等を用いた窒息の再現試験を実施した。

T吸引試験(吸引による口腔内移動) U破断試験(歯による噛み切りやすさ)

V滑動試験(口腔内での滑りやすさ) W閉塞試験(喉頭閉塞の起こしやすさ)

X呼出試験(閉塞食品の呼出されやすさ)

破断試験においては、多くのこんにゃく入りゼリー、もち、こんにゃく、だんご等で噛み切りにくさが観察された。滑動試験においては、こんにゃく入りゼリー、カップ入りゼリー、豆腐、プリン等で滑りやすさが観察された。

閉塞試験においては、多くのこんにゃく入りゼリー、もち、一部のカップ入りゼリーで、一旦窒息状況に至った場合での強い気道閉塞が観察された。

2 バイスタンダーとは、救急の現場に居合わせた同伴者、発見者等のことをいう。

試験を担当した研究者からは、@一口サイズで吸引する可能性がある容器に入っている食品で、A弾力性が高く、破断されにくい食品は、咽頭に覆い被さる形で気道の完全閉塞を起こし、咳やハイムリック法3等の異物除去が極めて困難であること、@・Aを併せ持つ食品は重篤な窒息事故を起こすリスクが高いと考えられるとの所見が示された。

なおこの再現試験について、耳鼻咽喉科の専門家からは、窒息現象を正確に再現することは非常に困難であるが、この試験方法は現実的に実施し得るものとして一定の評価ができるとの指摘が、また実際の窒息事故を担当した医師からは、原因食品が破断されずに変形し、気道を閉塞している状況等から、一定の再現性は有しているとみられるとの指摘がなされた。

(3)窒息事故リスク低減のための基本的な考え方

事故情報分析タスクフォース4からは、こんにゃく入りゼリーに関して、

@ 製品の設計開発の場では安全性を考慮することが前提。リスクが確認されているならば、販売形態(おやつとの誤認等)、消費形態(消費者の注意認識等)、商品固有の物性等の設計開発へと段階的に改善に踏み込むべき

A 商品に問題があるならばメーカーは自主的な改善を講じるべき。リスクに関する情報を関係者ができる限り詳しく共有することによって、製造設計の改善を促していく取組が望まれる

B 啓発、広報、警告表示においては、漠然とした表記ではなく、窒息事故が発生しやすい理由、メカニズムを分かりやすく伝えることが重要などの指摘がなされた。また窒息事故全般に関して、

C 窒息事故は事件性がないためリスク低減のための検討がなされていない領域であり、消費者庁が率先して取り組むべき

D 同様の事案が将来的に起こる可能性にかんがみて、加工食品等の安全性に関する一般的な考え方を整理する取組が望まれる

などの指摘がなされた。

3.窒息事故リスク低減のための取組

(1)食品等のリスク要因の整理

食品安全委員会による答申のとおり、窒息事故は、食品側及び食品以外(摂食者等)の各種要因が関わっており、それら要因の因果関係を明らかにすることは現時点では困難であるが、本プロジェクトでは、重篤な窒息事故につながり得る食品等側のリスク要因(大きさ、物性、構造等)について、特に子どもの事故を中心として、比較的高いと考えられるリスク要因を抽出して整理することを試みた。

3 ハイムリック法とは、窒息事故に際しての応急措置の一つ。背後から上腹部を強く圧迫して気道の開放をはかる。

4 事故情報タスクフォースとは、消費者庁からの委嘱を受け、消費者庁として独自に対応が必要な重大事故を抽出し、迅速・的確に分析・原因究明を進めていくために必要となる助言・指導を行う専門家メンバーである。

@ 大きさ

・子どもの気道(内径約1cm)から口腔の大きさ(約5.5cm)に至るまで窒息事故リスクは存在するが、十分に咀嚼されなくても食道へ運ばれるおそれがあり、弾力性に富んで気道の大きさに変形し得る食品等については、窒息事故リスクが高くなると考えられる

(参考)米国CPSC(消費者製品安全委員会)が、同国におけるミニカップ入りこんにゃく入りゼリーの輸入差止措置にあたり健康有害性評価を実施した際、子どもに窒息の危険性が生じるとした大きさの範囲

直径0.41 インチ(約1cm)〜1.25 インチ(約3.2cm)

A 物性

・口腔模型等を用いた再現試験結果によると、食品等の物性により吸引時の変形・破断等の状況は変化し、気道の閉塞状況に大きく影響する。表面平滑性が高い食品等では、吸引時の変形・破断等を経ず、気道に移動する場合がある。弾力性や硬さが大きい場合、咀嚼しても砕けにくく、噛み切りにくい場合があり、気道に移動して完全閉塞が生じやすい傾向がある。

完全閉塞に至った場合には吸気による解除は不可能である

・ただし、弾力性が乏しい場合であっても、食品等と気道の相対的な大きさや食品等の形状により、窒息は起こり得る

・なお、再現試験で指標としている弾力性については、試験方法等について検討の余地が多く、食品物性の専門家等からの指摘により、凝集性等、他の指標もあわせてさらに詳細な分析が必要である

B 構造

・一口サイズで、吸い込んで食べるような構造となっている食品は、咀嚼することなく咽頭部へ送り込まれる可能性があり、窒息事故リスクが高くなると考えられる

(2)形状・物性等の改善

本プロジェクトの検討結果からは、多くのこんにゃく入りゼリーについては、重篤な窒息事故につながり得るリスク要因を複数有していると指摘することが可能との知見が得られた。窒息頻度が高いもちやあめについては、もちは口腔内での滑りやすさが低く、あめは強い気道閉塞を生じさせにくい点では、こんにゃく入りゼリーよりもリスク要因が少ないことが示唆された。

この検討結果の解釈においては、データ数が限られていることや一定の前提条件の下での試験であること等に留意しなければならない。一方で、得られた知見に基づけば、こんにゃく入りゼリーによる窒息事故リスク低減を図るためには、従来と同様な警告表示や注意喚起にとどまるのではなく、商品の形状、物性等に踏み込んだ改善を講ずることが望ましいと判断される。一口サイズで、十分に咀嚼しなくても食道へ運ばれる大きさ、吸い込んで食べるような構造、口腔内での滑りやすさ、噛み切りにくさ、崩れにくさ等の物性を併せもつという特異性があるからである。

それゆえ、消費者庁としては、早急に、関連する事業者、事業者団体等に対して、上記のようなリスク要因の軽減につながる具体的な改善を促していくこととする。

また、今後同種・類似の属性を有する新規食品が設計開発されることも考えられることから、関連し得る事業者、事業者団体等に対して広く注意喚起を行う。

窒息事故リスク低減につながる具体的な改善を講ずるためには、現在断片的である関連データや知見を有機的に結び付けていく必要がある。窒息事故に関わる医師、歯科医師や、食品物性の専門家、事業者、及び行政機関等の連携協力を図るため、消費者庁において、速やかに所要の作業に着手するとともに、関係機関・関係者により構成する研究会を設置し、こんにゃく入りゼリーやそれに類する食品等の形状・物性等の改善につながる「参照指標」作成等について、年内に方向性を得るよう検討を進める。

(3)わかりやすい注意喚起・啓発の展開・徹底、販売方法の監視等

形状・物性等の早急な改善を促していく一方で、消費者への注意喚起や販売方法の改善等に係る取組について、抜本的な強化を図る。

@ わかりやすい注意喚起・啓発の展開

・今回得られた知見及び今後の検討状況を踏まえつつ、消費者向けに、事故発生リスクの高い摂食方法や、重症以上の被害につながりやすい食品等について、具体的にわかりやすい注意喚起・啓発を展開

A 注意喚起・啓発の徹底

・特に、子どもの事故防止に重点を置き、文部科学省・厚生労働省等と連携して効果的な方法で実施

B 販売方法の監視・改善要請

・子ども向け菓子に近接して販売するなど、こんにゃく入りゼリーの販売方法の改善が図られていない実態が確認されていることから、消費者安全法第23 条に基づく権限委任を進めている地方自治体等の協力を得ながら、販売方法の監視を実施、必要に応じて更なる改善を要請

以上

http://www.caa.go.jp/safety/pdf/100716kouhyou_5.pdf

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