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下肢深部静脈血栓は肺へ移動しない


[2009/11/04]

下肢深部静脈血栓は肺へ移動しない

肺に危険な血栓が生じる肺塞栓症は、もともと下肢あるいは下半身の他の部位の深部静脈で血栓が生じ、これが剥離して上半身に移動したものだと長期的に信じられている。しかし、この医学的定説に疑問を投げかける報告がなされた。

医学誌「Archives of Surgery (外科学)」10月号掲載の研究によると、肺塞栓症患者の85%で、深部静脈血栓症(DVT)や下肢での血栓の徴候(サイン)がみられなかったという。筆頭著者である米マサチューセッツ総合病院外傷・救急手術部長/ハーバード大学外科教授のGeorge Velmahos博士によると、この知見は血栓がほかの部位へ移動するのを防ぐフィルターの有効性についても疑問を投げかけるものだという。

今回の研究で、Velmahos氏らは、CT肺動脈造影およびCT静脈造影を受けた247人の外傷患者の医学記録を調べた。肺塞栓症患者46人ののうち、深部静脈血栓症患者は7人、15%のみであった。

説明として、血栓全体が剥離して痕跡を残していない可能性もあるという。しかし、患者の死体研究では、下肢静脈血栓のごく一部だけが分離し残存物はその部位に残ることが示されている。あるいは、画像診断では識別できない小さな血栓があったか、ルーチン検査されない上半身で形成された血栓であることも考えられる。

米レノックスヒルLenox Hill病院(ニューヨーク)のJack Ansell博士は「この知見は注意深く受け止めるべきだが、肺塞栓症のほとんどが下半身の深部静脈血栓症に由来するという従来の概念に逆行するものでもない」と述べている。また、ふくらはぎの静脈(小伏在静脈)の小さい血栓はどんな技術でも画像化しづらい点を指摘するとともに、肺原発性の血栓形成の可能性も認めている。

「肺原発性血栓形成」仮説に関しては、さらなる研究が必要となる。また、もし深部静脈血栓が下肢から遠くへ到達しないならば、フィルターで血栓を捕捉する治療法の有効性が疑問視される。別の専門家は「外傷患者にとっては、肺塞栓症や深部静脈血栓症が重大な問題であり、それらをどう治療するかが重要。ヘパリンのような抗凝血薬が治療の標準であるが、すべてのフィルターは無用で抗凝血薬を用いるべき」という話でもないと述べている。Ansell氏も「たとえ深部静脈血栓が剥離せず肺に到達しないとしても、深部静脈血栓症が重要ではないという話ではない。外傷患者であるなしにかかわらず、リスクのある患者には適切な予防的抗凝血薬を提供することが必要だと述べている。(HealthDay News 10月20日)

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=632133
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